第四章その一 矛盾の渦編
そこで、ランがリンと共に最初に見たと言う話に振った。マコト副長は丁寧な記述をする人物だが、ケンがその時一緒に見ていない事は知っていても、その後に行ったんかい、お前もって言う突っ込みは入らなかった。要するにそんな細かい事はシンやリンならするが、彼にとっては現実の結果だけで良い情報だからだ。そのリンが慌てたように、
「いや、それはダンにも聞いてくれよ、俺達は3人で見たんだ。途中合流して一緒にな。当初の予定に無かったから、報告が後からケンとも確認に行った事にしていたのにさ」
シンが笑う。
「良いよ、そんな細かい事は誰も言やあしない」
そのダンは、
「おろ、俺に確認する?ああ・・分析結果もそうだったし、俺達が四国の西海岸でも経験したけど、海を越えてそれが落ちても来ていたんだよ」
「ほうっ!その自然ガラスが?」
マコト副長が声を上げた。
「ええ・・見ますか?サンプルは粉々になっているけど、俺、持っていますから」
そう言ってダンがマコト副長に見せると、興味深そうにそれをしげしげと見つめていた。板は厚みはまちまちで良く見ると表面もでこぼこしていて平らでは無かった。
「何でこんなものが出来るのかは良く分かっていないけど、気圧の関係もあるのかと思う。ここでは常に東から西にかなり上空では強い風が吹いているようで、また黒い噴煙の方が上空にあって、白い噴煙の方が重量があるのか、ある一定の高さまでしか噴煙が上がらないようっす。だからその関係でこう言うものが出来るのかって思うけど、それは今の所原理は分からないっす」
「まあ・・それはそうだよな。いずれこう言う物も分析や検証もするだろうが、それを調べに行っている訳じゃ無いんだろうし」
「まあ、そうっすよ、これは予想も出来なかった状況が、現実に起きていると言う事だけっす。だから、ショウが言う事は重要な話だと思うけど、その過去の大地震の結果と、現状とをもっともっとじっくり見て行かなきゃ、何も言えないと思うんす」
「おい、ラン、そんな事を言ったら話が終わっちまうだろうがよ、何だ、お前はこの話をしたく無いのかよ」
黙っていたリンが突っ込んだ。苦笑いするケンだった。だが、何も言わない。
「あ・・済まん、じゃあ・・ショウに聞く。お前、さっき言いかけた事を言って見ろ、隕石までの話まで持ち出して来て、大地震とどんな関連があるんだよ」
ランはしっかりと聞いていたようだ。ショウも、苦笑い。




