第四章その一 矛盾の渦編
「日本の九州にある2施設は、地震と津波が来た場合、地理的要因から奇跡的に避けられるかも知れない。もしそうなった時は、人類はかろうじて壊滅の中から歩む道を残すかも知れない。が・・この大地震の際にAI『誤動作が発生する確率がある。その理由は地球周回をする衛星にあり、その衛星を破壊する衛星にも誤動作を起こす。もしそれが起きれば連鎖的に衛星破壊のパルスが発生され、約30年の年月によってそれは続くだろう」
「ええっ!誤動作だって?人類がボタンを押したんじゃ無かったのかよ!」
ダンが声を上げた。シンはこっちが本当の事だったのかと思った。
「私は、何度もその危険性を主張した。しかしその都度、もはや思考能力が衰え、AI主導の社会にどっぷりと浸かってしまった官僚社会においては、危機感等は皆無だった。その傾向は世界的な潮流であろう。ここで私は彼らを見限り、研究にまい進する。九州ドームに移動願いを出し、認められた。私の3つの発案を進める為に」
そこでファイルは終わった。もうどこを探してもそれ以上のものは出て来なかった。
「この続きは何だったんだろう・・」
「分からない・・けど、大津波は実際に和良司令官の言う通りに起きた。そして第1ドームは想定通りに無事だったし、失われた植生もドームを中心に蘇った。そう言う現実と、今聞いている話は繋がる気がする」
シンが言うと、3人は頷くのだった。電磁パルス爆裂がその結果なのだとしたら、やはりその事で、世界的に最後の鉄槌が下された事になる。そんな物をやはり開発した人類にそれは起因があると言う事なのだ。
「かなりの部分が披露された。全く存在を聞いてから闇のままだった人物が、自分とかけ離れた考えの日本の中枢の者達に愛想をつかし、研究に専念したと言う事実と、電磁パルス爆裂前に大地震が起きていたと言う事だ。そして、115年前よりそれはどちらも前の事になる。或いは、試験管ベビーが判断の出来ない3歳までの間に電磁パルス爆裂があったのだろうな」
ダンが言うと、それに異論は全く無かった。となると、和良司令官は既に少なくても130歳前後と言う事になるだろう。又その頃のドームの中心となった者達も既に存在しない。更に言うと第1世代がこの後一斉に消えたからだ。或いはこの和良司令官或いは内部の反乱者によって消された可能性も勿論あるが・・
シンが言う。




