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シンカラス  作者: 白木克之
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困難に迎え

「あの・・我々に出来る事は、どうぞ命令して下さい。そんな重鎮のお二人が率先して動かれると、我々は、力不足なのかと思いますので」


 マコトがそう言うと、10人全員がそうだと言った。


「決して諸君の能力が劣っているとか、そんな事は無い。申し訳ないと同時に、有難う。これも、昨夜急遽の私の発案に、エライ班長が同意されたものだったので、こう言う作業になった。これからは諸君が言われるように盲動は慎もう」


 彼らが行動する度に、やはり今のチームがこれまでに無かった結束力を持ち、モチベーションも高まっているのだと思った。この時代・・既に世界を蹂躙していた人類は、終局を迎えていた。あろう事か、核に変わる戦闘兵器として生物兵器を開発した。そして、今や、核抑止力を無効にした途端、その生物兵器によって人間は、自分達の僅かに残る生息範囲でさえも更に縮小されようとしているのだ。もう後50年先には、現シェルターは持つまいと分析されていた。思わず早く訪れようとしている老朽化と、資源の枯渇、食糧だ。そして、人口問題もそうだ。シリマツは、この会議の席上で全員に、現シェルター内の人員数、年齢別男女の人数、組織内部署、その指揮系統図を初めて公開したのであった。ここまで、披露しなかった理由は、もし外国からの工作員、スパイが紛れ込んでいようとも、既に100年を経た今、そこに国家的思想的な伝承は無いだろうと言う事と、事実上、実動部隊によって、外部に出れば命の危険に遭遇する。そして、どうあがいても世界的秩序は電気指令系統の破壊によって、機能しなくなっている。生物兵器が、この世の春と地球上を謳歌しているだろう現状を全ての人員に伝えたのである。その為に、危急存亡の時を今迎えている。全員が一団となり、動ける者は動こう、組織の改編をすると言う流れで、動き出した事を伝えたのであった。これは急速にであった。あっという間に組織はこの数カ月で変化したのだ。シリマツの加入によって、ようやく老骨とまで彼は言った。古い時代の職制にしがみついていた幹部は、粛清されたのだと言う。自分達の安泰だけを考えるような保守的な考えでは、このシェルターは崩壊する。それは外部からだけでは無く内部からもだ。この追い詰められた現状をどうにかしないといけない。そうする者達が、古い資料を秘匿されていた場所から表に出した所から、ここまでの100年前、もっと前の社会の事や、監視カメラで、全て一挙手一投足まで管理されているがんじがらめの生活に、疑問を投じたのだ。それが、エライ班長の言葉にも現れている。


「もっと早く決断があれば、まだまだ現役世代の知恵も、力もお借り出来たんだがねえ」


 シリマツは嘆息気味に言った。


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