第四章その一 矛盾の渦編
「ははは・・DVDの見過ぎだっつうの。尤も俺もそっちの侍時代の物が好きだったけどな。リンが言うんだ、常に番犬も御供には大事だけど、判断は人間2人組みで行った方が良いとな」
「成程・・それもシンの考えだな。分かったよ」
「ふふ・・お前達は何でも分かっているんだな、何も言わなくても阿吽の呼吸のようだ。俺もお前と随伴のメンバーだ。そう行こうぜ」
「おう・・ショウと一緒なら心強いさ」
こうしてケンとショウが、2人で今度は瀬戸内北方面探索に向かう事になったのだった。
その頃、やはりシンの感覚的なものに従う形で又違う行路を逆進する事に、ダンは疑問をぶつけるのであった。
「なあ、シン。聞いても良いか?俺はお前に全面的に協力もしているつもりだし、自分なりに意見も言う」
「あ・・おう、ちょっと急にお前が無口になっていたからさ、どうした?」
シンがダンを見つめると、
「何で、逆進を思い立った?それに、確かにお前の言う通りあの生物群にはびっくりしたが、俺達2人でどうにもなるもんじゃねえ・・それは分かったし、リンにも報告もした。恐らく数時間も経たない内に、この瀬戸内海付近の航空写真と言うのかな、デジタルデータが刻々と送られるだろうさ。ケンシンさんによってな」
「ふ・・その通りだ。ケンシンさんはめんどくさい部分もあるが、非常に優秀だ。それには異論もあるまい?」
「無い、全くないどころか大賛成だ」
「それで何?」
「今言った逆進だ。それがお前の判断の中では一番大事だと思ったんだよな?」
「何時もだが・・勘だ。俺の中の疑問が大きくなって、それで確認しに行けと言われているような気がしてさ」
「うむ・・その根拠の一つでも言ってくれないと、俺もシンの勘と言うのは信じているし、今までだって数多くの発見に繋がって来た。そして、俺達に確実に指標を与えて来たからさ。その事自体に何ら反対する気も無い」
「実は・・九州南部をお前と一緒に眺めて来た。地殻変動が起きた事は勿論見た通りで、かなりの規模だったと思う。そして、四国を回って、驚いた。四国西南部及び、豊後水道側には、その九州の影響もあるし、太平洋岸も同じで生命の存在も無かった」
「無かったよな・・そしてその真逆の現実が瀬戸内側にある」
「俺は、日本の歴史も調べていたし、地殻変動を115年前後に予期していた事も、間欠泉噴爆等も一連のものだったと思うんだよ。ケンが最初に発見した湖も、干上がった温泉地帯もな」
「ふうむ・・そっちの話から来るかあ・・それは確かに線と面で繋がっているような気がするな、俺も」
「だとしたら、四国沖のプレートによる大地震・大津波を想像して見た。勿論発生しただろうと思う。それが見た現実から出た答えさ・・勿論俺自身のな」
「そうか・・シンは淡路島移動説と言うよりも、津波の影響で大きく地理が変わった部分を優先したいんだな?」




