困難に迎え
「お分かり頂けたかな?この分析作業には約1ヶ月を要する。なので、通路保全へ、今は後方支援・援助と言う形で行動をして貰う」
「どのような・・?」
「まずは、薬剤を散布する。これは、石灰自体が強アルカリ性を示すので、その微粉末溶かしたものを散布するのだ。これにより、まずは除菌が99パーセント以上は出来るようになるだろう。更に、この散布には、通路内部の補強を兼ねた皮膜をする。より現壁を強化出来るだろう。しかし、今の通路壁では、上からの重量で崩壊する危険性があるので、ドーム状のトンネルにやはり改造する事にした」
「まずは、やはり獲得した通路にしろ、領地と言うべきかそこの守護になるのでしょうか?」
「ふふ・守護と見えるが、考えて頂きたい。この100年間誰もが行わなかった、出来なかった進歩と考えれば、これでもその3キロ通路を確保した成果は大きい。そして、こう言う通路は、我々の行動範囲を広げる事になるのだから」
「はい・・」
シリマツの言葉に、シン達も少し心強いものを感じた。
「それでは、この作業が終われば、再び調査出動ですね?」
「勿論だ。だが、ここでやはりと言うか、この100年間で相当数のオオコウモリがその生体数を増やし、食性ピラミッドの頂点に立った事を認めねばならない。それだけは確かだと言えるね」
「既に日本の地上界を席捲していると?」
「しているだろう。この3キロの通路外でさえも、たった半年で相当数のオオコオモリの糞が蓄積している事が確かだからね」
「あの・・」
今度はカンジが手を挙げた。
「生体武器と化したオオオコオモリの子孫なのでしょうね、勿論」
「そうだ。生体武器となるべき対象は、繁殖数もその候補としてあげられる。又寿命も大きく伸びている事だろう。そして、これだけ席巻する程生息が予測される程、世代交代も進んでいると言う事だ。古い資料の生体武器オオコオモリの中からどのような突然変異的個体が生まれているかも私には分からないが」
「写真には、その確実な証左はありましたかね?実態が・・」
「あった。一部、壁の弱い所があり、直径10センチの穴が開いていた箇所があった。そこのスライドを、今からお見せしよう。恐らく、その壁横には通路を水平に横切る木の枝があると思うが、そこにぶら下がっている」