第四章 探索開始
「こっち側も不毛の地か・・しかし、人類と言うか地球上の動物・植物は何度も死滅しては蘇って来たんだよな?」
「そう言う事は聞いている。で?」
「深海はダメージが無いとの事だ。今回のクラゲも深海生物らしいが、佐賀県の不明生物もその可能性がある。深海から地球上の生命が復活し、又進化して行く過程もあるんじゃないかと思ってな」
「壮大なスケールの話だなあ、ダン。ははは、俺達の寿命もとっくのとっくに、又人類も滅亡している可能性も大だろうが、そこから又進化して行く生物の正体を見たいものだぜ」
「ははは・・でも、それを和良司令官が考えていたりしてな」
「おい、ダン・・広げ過ぎだって。頭を今はそっちに向けるな」
何時も2人で居ると、やや先走りな倫理追求をしたがるダンだ。あくまでも頭の中は高速回転、それに膨大な情報と記憶力も持ち、現実をまず注視しようとするシンの葛藤もある。あながちダンの話が的を外れていなかったとしても、現実に見える風景の検証が先なのだ。一方そう言うダンも、しっかりと現実認識をし、今一緒に行動しているのだ。
その間、『伴』と『銀』は、ケンに分析して欲しいと言うサンプルを持って帰って居た。ケンは独自に生体分析の専門である、初めて登場する者だが、優秀なカワチと言う博士課程を出た若い学者にそれを託した。
「了解です。結果はケンさんにお渡しをしたら良いんですね?」
「ああ・・君だけに留めておいてくれ。この分析結果は又落ち着いてから皆にも公表するつもりだから内密でな」
「ええ!了解です」
嬉々として、カワチはそれを受け取った。恐らくAI試験管ベビーでの誕生の最後の世代であるだろう、22歳のカワチだった。同世代は作業班に10名程度居ると思われるが、相当に機器が老朽化し、誕生した者が少ないようだ。その中では突出した存在である。
ケンは、逞しくなった『伴』と『銀』の頭を撫でながら、
「良くやったな、『伴、銀』。シンは、お前達を危険に巻き込ませたくなくて戻してくれたようだ。それにお前達が非常に活躍してくれたとの伝言もある。後はオオコウモリ軍団が、かなりリンの訓練法で成果を見せ始めた。かなり空の状況も変わるぞ」
そんなケンに、ランが話があると言う事だ。その2匹を連れてラン指定の山切りの木に向かった。
「よお・・」
ランが手を挙げた。




