第四章 探索開始
そして、彼らは更に南下を始めた。
もう一つ分からない事は、生体カラスだ。本当にT国から飛来したのだろうか?そして、オオコウモリを神野黒服達が放したと聞いていたが、今度は和良司令官が放したと話が変わっている点だ。余りにも多い情報量の中で、実践・実証による真偽の整理もして来た。その結果、矛盾が非常に多いのである。繰り返すが、情報は次々と現れ、検証するその中で、真偽そのものが曖昧になったり不明になったりする。その点で行けば、コウタ班長・シンの2人に限っては、きちんとその点を今も分析しているし、そのまま聞き流したりしていない点である。不要情報は、ばっさり切り捨てているのだ。やはり彼らは、その超天才がどんなレベルなのかは分からぬが、今の組織の希望であるように思えた。僅かその区分けで行けば、やはり現組織には僅か50名程度の特出した者達しか存在しない事になる。そして・・
「ストオーーーップ!」
シンが、『伴・銀』に大声を張り上げた瞬間だった。
オオコウモリが急旋回し、戻って来たのを見た時には大声を出していたのである。
「な・・何?」
びくっとするダンには、咄嗟には分からなかったが、犬達はその声で一目散にシン達の所に戻って来る。シンは言う。
「やっぱりだ・・鹿児島桜島周辺の5つの火山は、今ももうもうと噴煙を上げ、非常に活発な火山活動をしている。既に噴火が終了し、山容を変えた阿蘇山からは噴煙だけだが、こっちは違う。豊後水道を超えて、あれを見ろ・・ダン」
シンが真っ青な顔で指差した。その方向にはきらきらと何かが無数に振り続けている。
「え!あれは・・」
「桜島付近では5つの活発な火山噴火があって、その中の最大火山である、恐らく桜島なんだろうな、噴煙が高度8000メートル以上に上がり、噴石も降らせている。その中に原理は分からないが、白い噴煙は更に高く上がり、火山ガラスのようなものを降らせている。それも殆ど間隔も無くだ」
「それが・・この四国まで?」
「有り得るなとは思っていた。だが、見ろ・・もう少しでオオコウモリもアウトだったし、犬達も直撃を受けたかも知れない。前の海岸を見ろ、白いもので覆われている」
「かなりここからは離れているが・・そうか、シンの眼もリンには及ばないが、かなりの視力・・双眼鏡で見よう・・」
そう言いながら、双眼鏡を覗くダンが声を上げた。




