第四章 探索開始
ダンとシンが伴を呼ぶと、一目散に駆け寄り、ちゃんとシンを主人の相棒として認識しているようだ。真っ先に尾を振り飛びついた。ダンには甘噛みをする。ちなみにダンの相棒は『亮』と言う。おの探索にはついて来ていない。
「はは・・この野郎、やんちゃなのは子犬のままだ。俺の腕に甘噛みしやがったぜ」
シンが笑った。その彼は、
「それだけ気を許している証拠だ。ちなみに俺の相棒の『銀』も呼んで良いか?」
「何っ!おいおいおいーーーーっ!」
ダンの眼が点になる。何ともう1匹の子犬も居たのだ。ケンは2匹の子犬を護衛に派遣していたのである。無口なケンだが、非常に心配症的な部分もあり、犬達の訓練も欠かさなかった。
「『銀!』」
わおおおおーーーーっ!こっちは遠吠えをしながら走って来た、一回り『伴』より体が大きく、斑のシェパード系の犬種だ。
どすん!シンに飛びつくと、流石の彼も大きく尻もちをついた。
「ああははは・・『銀!』お前、手加減しろやあ!」
その『銀』は、シンをもっと激しく甘噛みをした。最大の愛情表現なのだった。この犬達は、しっかりと自分達の主人を認識しているのだ。
「良し!止めっ!」
2人が声を掛けると、ぴっと背筋を伸ばし、2匹は座った。
「お前達は、これから相棒だ。付いて来い」
「ワン!」
2人はこうして、この白く立ち込めた海岸線を更に南下して行く。電動車の速度程度では遅すぎて飽きるようだ。時折、電動車の前を行ったり、また横道に逸れたりと、2匹はとにかく元気だ。
その時、突然、2匹が
「がう!がるるるるううう!ワン、ワワン!」
激しく吠えたのだった。
「むっ!」
シンとダンは身構えた。自動サイレンサー銃を手に持った。腰には2丁の拳銃と、背中にも連射銃を背負って、電動車から降りた。




