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シンカラス  作者: 白木克之
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困難に迎え

「耐久的にどうかの話は、当然後回しになる。そんな数10年先の事まで考える余裕は無いし、そこが崩れれば、こう言う工法だと修復も割と簡単だと言う事だから、選択された訳なのだ」


 そこの説明は省いて貰っても良いとシンは思った。そんな細かい事より、どうした?と言うのを聞きたい訳だ。問題があったと言う点だけだ。

 少しここでは、せっかち気味だと、彼らとの会話の中で分かってきたそれぞれの個性が、徐々に明らかになる。そのケンが聞く。


「あの、ええっすか?そんな事より、単刀直入に聞きますが、俺達はそう言う作業班でも無いし、研究グループでは無いから、実動部隊として動けなくなった理由をお願いします」


 どうも研究畑、学者畑の者は、説明的な口調になりがちだ。理路整然と論文を読むような口調になる。仕方が無い事だし、そう言う矛盾点、疑問点を突かれる訳だからそう言う者が多くなる。


「つまり、オオコウモリの糞が、我々の構築した通路上に多く溜まっている可能性が高いのだよ。その為、アンモニアによって大理石は恐らくそんなに耐久度が無くなるだろう」

「成程・・その心配ですか」

「いや、その心配だけではない。コウモリは同じ場所に大体棲みつき、糞をする。そして生息数も非常に多いと予想されるから、当然大量の糞をするので、ましてオオコオモリの個体だ。それは相当な量に及ぶだろう。つまり、強度的にも、又その糞によってダニ、ノミ、寄生虫等の繁殖もあると言う事だろう。今の我々ではその二次被害、三次被害まで想定し、対処出来る体制が無い・・と言う事だ」

「そう言う事ですか・・」


 それには、誰もが納得せざるを得なかった。シェルター内は無菌室の中に居るようなもの。だから実動部隊には、体力面でも、運動能力面でもパスした者が優先的に選ばれた訳だ。医薬品もいずれ枯渇する。新たに製造出来る部門も無いからだ。在庫を使い果たせば、その供給を外部に向けざるを得なくなる。ここからも、人類が愚かな行為の結果、滅亡の道を辿っている事が分かる。枝葉論で、その一部分だけで判断を下す事等誰も出来ないのだ。たった、5万人の人類の中で、実際働ける年齢の者がどれだけ居るのだろうか。既に3割近くが老齢になっている現実も、この時突きつけられたのであった。しかし、それまでの医療技術の発展があって、寿命自体は延びていた。がん等を発生させない薬・治療も確立されていた。所謂バイオ技術と言う発展と医学は相乗関係にある。


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