第四章 探索開始
「おい、ダン・・海は穏やかだ。あの奇妙な生物も居なかったようだし、どうだ?海岸線を行こうか」
「あ・・そうか。なら、この岩を避けられる最善コースかも知れないな、ただし、危険はつきものだから用心はしておこう」
「おう、最新式の連射銃も持ってきた。相当威力も以前の物とは違うようだ」
「ふ・・コウタ班長も色々指示しているらしいな。その銃はランがかなりヒントを出したようだ」
「はは・・ヲタク的知識か・・それでもその情報で作れる奴も凄いよ、カジの事を異才の科学者だって褒めていたけどさ、その銃を改良した者も相当じゃ無いのかよ、シン」
「ふ・・人に言われて製造するようでは、独自性は無いのさ。その教育を受けてその道のエキスパートは、確かに300人位居る。けど、それじゃ駄目なんだ」
「ふうん・・自分で工夫し、生み出す力なのかあ・・」
「だ・・な?思っているような表現は出来ないけど、そう言うものだと思うんだ」
「あながち、俺達って自負しても良いのかな、結構色んな事を考えてたりしてな」
「あはは・・そう言う意味では、異才の者達だ。でも、やはり発明するとか、道具を作ると言うのは特殊な才能だと思うんだよ」
「なる程・・そう言う才能が人類の科学の進化と共に、退化して行ったと言うんだな、確かに俺達はその科学最先端の者達から見れば、大昔に戻ったような生活基盤だが、これでも未来の者になる。客観的にそう言う事が見えたりするわな」
「それは、やはり先見性の明が神野黒服にあったと言う事になる」
「じゃあ、こんな不便な世界には、和良司令官は用は無いと言う事になる。何の未練も無く、ひょっとしたらどこかで超科学の世界に生きているのかも知れないな」
「それ・・俺が危惧している事だ。オオコウモリを、それなら意図を持ち放したと言う事だろう?」
「そうなるかな・・しかし、本当に生きているのかどうか。まるで証左なんて無いんだぞ?」
「いや、ある。カードの何枚かはあった。しかし、どのカードも要するにAIへのパスだと言われている。その情報を残しているのなら、相当のものを持ち脱出したのでは無いかと俺は考える」
「神野黒服が防御したのかな・・もし生きていて和良司令官がドームに顔を出し、何かをやるとしたら」
「分からない・・しかし、コウタ班長が相当のセキュリティを独自に開発していると言う情報もある」
「大天才と天才か・・俺達にはそのレベルは到達出来ないな・・」
「何が大天才なのか、単なる俺達も受けたけど、IQとか、色んな能力テストとかな・・そんな物で機械的に分類されちゃたまったもんじゃないって言うんだよ。だから、ものを生み出す能力って言う部分だけで、そんな比較をされちゃやっぱりたまらないよな。それに数値じゃないだろって話だ。そんなAI分類とか今だってそうだろう?人間が大昔にやっていたような紙に字を書いて、そろばんを弾いて、膨大な書面に整理して・・もはや戻れないんだよ。この生活基盤が、少なくても遺産を引きずっている訳だからさ」
「ん?言って居る事がいまいち・・」
ダンが苦笑する。シンも言っている事が分からなくなった。所詮、そんな程度の認識と理解しか無い訳である。少なくても超科学の最先端を走っていた者が現ドーム内で使えなくなった機器を見切り、前時代の機器を動かす理由など皆無だろう。だから居なくなったと考えている。それに、若返ろうとも稼働していたAIは停止したのだ。今コウタ班長が人為的と言う手段で行っているに過ぎないのだから・・。




