第三章その三 海を渡る
「そう言う趣味が身を助けると言うか、情報を与えてくれる事も多いさ。特に俺自身は好奇心の塊のような性格だと自覚しているし、ダンもよく似た部分がある」
「だ・・な。近い所はある。難解で専門知識を要する大学院レベルのプログラムを、お前達は自力で作った。その中でも相当数のプログラムが新しいコマンドとして登録されたそうじゃ無いか」
「まあ、修正も一杯されたがな」
「そう言う発想が必要なんだ。恐らく人類の脳が低下していると言っても潜在的に眠っているだけなんだと思う、使わなくては退化してしまうんだと思った」
「それが教育の充実だったら、エライリーダー、シリマツ官吏の提案はそのまま王道じゃんかよ」
「王道さ・・これは最重要案件さ・・だって、そうしたくてもコウタ班長だって手をつけられなかっただろう?あくまで組織は組織だ。上からの指示がなきゃ何も出来はしない」
「それなら、元と一緒じゃないか」
ランの顔が歪む。
「まあ、待て・・だから、さっき言った話だ」
「あ・・済まん、横道に逸れたな」
「気にするな、いつもと同じさ、ふふ」
「はは・・じゃあ、言うよ。その突破口は、塔の暗号めいた壁や記号だった。シンが一つの法則を見つけたが、昔で言う所の数次元バーコードと同じだったんだよ。勿論、一つじゃ無い。何段階もその数次元バーコードをページをめくるように突破して行き、10ページ目にようやく姿を現した。それが20に渡るAI端末への特進路だった。これこそが、手動でAI中央管理システムの眼を潜り、ブロックする・・言わばハッカー的プログラムだったんだよ。そのAIも115年間も機能停止していたし、中央管理システムが破壊されている事も分かってしまった。これは固く口止めされていた。そうだろう?俺達がこの先希望を無くしてしまったら、何もするな、このまま過ごそうと言う保守思考がまた蔓延するんだ」
「そこは理解する。で?第2ドームの管理AIを主導に出来たし、収蔵品の閲覧も可能になったんだな?」
「ああ・・とんでも無い膨大なものだ。今の古ぼけたPCなんて数百台、数千台使っても収蔵し切れない。しかし、これを単独機能させる事でそれだけのデータが必要なものだけ取り出せるからな、そこはダンと俺の検索プログラムが功を奏したと言う事になる」
「そうだったのか・・良く分かった。詳細を知らないと知るのとでは、俺も質問の方法も変わるし、これから行おうと思っている事がより具体的になる」
「俺達が解除出来たカードは2枚だ。そして塔の中に3枚、産業資料館の7枚が有った。しかし、全てを解除出来ては居ないし、それが何かをまだ検証出来ては居ないんだ」
「じゃあ、最初にやったカードが保管資料であると言う根拠は?そして、それはどこにあった?」
「塔だ・・」
「それこそ、塔と産業資料館が密接に繋がっている証左じゃないか」
「勿論さ・・だって20機のAI端末が塔の内部にあるんだからさ」
「そうか・・そう言う事か。なら、やはり塔が重要な役割を担っていると言う事になる」
「そうなるわな、実際。確かに発電設備は残っていた。高分子砲なる話もどこに消えたのやらって言う所だ」
「そうなんだ・・一切あれからそんな話は出ていない。不思議にストップしたよな」
シンも頷いた。




