困難に迎え
「あはは・・誰だって緊張するさ。だって、広大な組織外の一歩でも進めば、森林が生い茂り、こんな所にもはや人間が開拓している筈も無く、その様子も無い。鬱蒼として広がる大地は、俺達が生まれて初めて外に出た、誰も知らなかった所なんだ。そして、何度かの実動経験は皆が持っている。その怖さを知らない初陣の前教育を受けた奴ならいざ知らず、経験したからこそ、恐れない奴なんていないさ」
マコトがここはリーダーらしく話題に加わって来た。
「まあ、何事も無く、そして順調に今日の装置設置に対しては、100パーセント達成出来た。だが、明日は分からない。さあ・・ゆっくり休め。明日また出掛けるか、変更になるかは、エライ班長、シリマツ官吏の判断次第だからさ」
「あ・・おう・・」
緊張して居なかった者等は、皆無だった。だから、無事戻れた事にほっとする気持ちは誰もが一緒であった。ランも、シンの肩をぽんぽんと叩いた。
「ふ・・俺が一番緊張していたかも知れないのによ、お前に突っ込んで悪かったな、シン」
「この野郎・・自分だけが余裕のあったような態度をしやがってよ」
わははは・・そこで10名が、ぽんぽんと肩を叩き合いながら笑ったのだった。
それで良し・・マコトは思った。それが正常な精神状態なのだ。今までがおかしかったのである。緊張がほぐれた瞬間であった。それこそ、真なる実動部隊が本来持たねばならない感覚なのだと思った。
困難な事を、わざわざお出迎えするようだな・・誰かが言った。誰が言ったのかは分からないが、遠回りしているような実働が、その困難が何故か必要なものでは無いかと思うのだった。そしてクリアして行く事が、彼らのキャリアになる。
このように急激に実動部隊に対する認識が変化したのには、理由があった。その一端に過ぎないが、今まで旧時代の産物として放棄されて来た資料を分析する部署が誕生したのだ。高度な科学を100年前に有していた事は誰でも知っている。




