仲間集結
その言葉を聞けば、シリマツがかなり革新的な人物だと分かる。今までそんな大きな声で上を批判した者等は、居なかった。そう言う風にシン達が教えられて来たからだ。
ふふふ・・と、エライ班長は笑った。
ちなみに、シンが首記、ランが副記、シュウが官吏、ウテン右支、サテンは左支、リンが乱主、マコトが副主、ケンが堂主、カンジが切主、カイが同主、エライが班長、シリマツが官吏に落ちついたようだ。実際、名前で呼び合う彼らにそんな役職名が後ろにくっついた所で、何の意味も無さなかった。それも上の頭の古い年寄りの自己満足だと言うのなら、勝手に名付けていろ・・とシン達は、聞こえぬ所で笑い合うのであった。どうやら、チームとしての意気疎通も十分のようで、何よりも、今度こそきっちりした実動チームとしてスタートするのだ。失敗はあろう、危険も伴おう、しかし彼らに特別の超能力がある訳では無い、身体的能力が一般の者より多少高いとしても、翼長推定1.5メートルもあるオオコオモリの実態も、殆ど分からないのだ。もしかしたら、簡単に人間などやられてしまうのだろうか。超音波攻撃は、今の説明である程度把握出来た。なので、逆に超音波を相殺する超音波装置が、現社ルターの旧式機械設備内でも出来た所だった。特別な器具では無いが、これも数が限られると言う事だ。生産出来る材料等も無いからである。だが、生体武器と言う存在の姿は、どうやらここに来て把握出来たのだった。
これも実動部隊の十年の結果だとすれば、彼らをもっと階級的や、待遇的だけでは無く評価もして欲しいと思った。当然である。自分達は、生身の人間だ。機械では無いのだから。しかし、この100年の歴史と言うのは、閉鎖的環境の中で、ここを守護するだけの為に命を繋いで来た組織の状態では、こう言う仕組みになるのかも知れない。それでは駄目だと言うシリマツ官吏のような革新的な考えの者が現れて来たのは、更に追い詰められた人類が、乾坤一擲の反撃を開始するべき最後のあがきなのかも知れない。