第三章その三 海を渡る
「どうだ!リン」
「ああ・・ここが四国なんだろうな、初めて見るが、すぐに陸地が繋がっている。結構高い山が多いんだな」
「俺達は、まだ南の方に足を向けていないからな、南に行くと、高い山や火山もある」
「四国に火山はあるのか?」
「あ・・俺達の住む九州には南にあるが、四国には無い筈だ、ごっちゃにしていた・・」
「は・・俺達はまだ自分達の住む九州すら把握できていないもんなあ・・・どっちが先か、シンはもう考えているんだろう?」
シンがランと話しているうちに、ダンもケンも海底トンネルの外へ・・。素晴らしい青空が広がっていた。そして、その色が非常に綺麗だった。森林がここにも生い茂っている筈だと思っていたが・・しかし、トンネルの出口付近にはそんな光景は無かった。砂漠のような丘が連なっているだけだった。
「やっぱりもう一つの予想通りか・・ここは海岸からは少し上だが、施設や付近の小岩などが粉々になって砂丘のようになっている」
シンが言うと、ランが聞く。
「もう一つの予想通りって・・この風景が当然に言うようだな、シン」
「まあ・・どこでもこう言う感じだろう?たまたま俺達の住んでいる場所が、平地で森林に覆われていただけなんだからさ」
「成程・・と、言う事は俺達の住んでいた環境が特別だったんだ」
「何かの思惑が、きっと立地条件にある。四国は平野も少ない、高い山ばかりだ。だが、火山は無い。だから、或いは山岳地帯を利用した施設があるのかと思ってさ。その調査はランの事だから、目星はつけているんだろう?」
「ふ・・シンは全てこれだ。衛星が地球上空に回っていれば、微弱な電波も拾えるんだが、反応もしないや。いよいよ、量子衛星が悉く全ての衛星を打ち落としたか、宇宙の果てまで飛ばしたのかは分からないが、つまり今度は量子衛星自体の存在さえ怪しくなる」
ランが言うが、別にシンも相槌は打たなかった。誰もそんな事は今は調査もしていないし、調べる余裕も無い。第14班だけがこうして遊軍部隊として行動出来ているのは、シンが既に実働部隊のトップである事を誰もが分かっているからだ。たまには不確定な事に疑問も呈するが、まるで根拠の無い所での発言は殆どしなかった。
「『戒』と『愁』が先に行きたそうだ。俺が行っても良いか?」
ケンが言うが、少しシンが首を振る。




