仲間集結
少し厳しい顔で、シリマツが言う。シンも大きく頷くのであった。
この日はランが聞く。
「その生息数の予測については?」
「日本と言う国家が存在した時点の100年前の人口が9800万人だった。その頃は世界的に人口減が加速していてね、そうなった理由は色々あるが、寿命が延びた事も一因だと言われている。平均寿命が150歳だったとも記録がある。尤も、このドーム内では65歳を超える者は皆無だ。私にはその理由を説明せよと言われても出来ないが・・。では、続けるが、オオコウモリは生体武器として恐らく繁殖を促進する為に、改良され、多くの子を生んだに違い無い。推定するしかないが、その人口に匹敵すると思われる」
「武器は超音波だけですか?」
おっと、と言う顔で、シンはそんな突っ込みを突然したランを見る。だが、真剣な顔で聞いているのであった。シリマツは首を振る。
「分からない・・しかし、例え唾液に毒があったとしても、カラスに対する有効な攻撃手段にはならないのでは?」
「ああ・なる程。我々が襲われ、噛まれたと言う事実も無い訳ですかね」
「うん、今の所はないようだが、噛まれないと言う保証も無いだろう。仮に毒ならば、現組織内で無毒化出来る程このシェルター内には、薬剤も無いと思う。いかんせん、血清なども手に入らないのだから、ここでは牛以外に他の動物が殆ど居ない事は周知の事実だ。少しの鳩や、小動物は居るが研究用の対象だからね」
「あ・・いや、知らなかったぞ、殆ど居なかったのですか!」
サテン、ウテンが驚くように言う。他の者もそんな情報は得ていなかったようだ。そう言われて見れば、確かに人間以外に見た事も無かった。シリマツの方が、逆に驚いている様子だった。
「成程・・そんな情報も諸君には与えられていなかった訳か。よくよく上の考えには理解に苦しむ部分があるよね」
エライ班長が少し眉を曇らせ、
「おいおい・・そんな事を言っちゃ、上に丸聞こえになるだろうが」
「構いませんよ、とにかく組織内の改革が急がれます。そんな年寄りばかり、保守的な者ばかり居るから、段々と衰退して行くのですよ、組織が」