第三章その三 海を渡る
「見かけ上の美しさか・・俺達の今が、この偽物の自然とはな・・」
「シン・・そう悲観するなよ、俺達にはどうしようも無い事さ。その現実に俺達は直面し、そこからどうするのかって今までやって来たじゃんか、少なくても指揮官が弱音を吐いたら駄目だぜ?」
「指揮官?まあ・・それを言われたら、俺はずっと自覚無くやって来た。それに、この第14班を自負するようだがな、自分の事はさておいても、皆は本当に良くやって来た。それだけは言えるさ」
「リンが、オオコウモリをある程度指揮出来るようになるまで、かなり逆襲もされたりもしたがな、奴らに出しちゃいけない信号もあるんだって事も分かって来たし、確かに色んな事がお陰で判明して来た。もし残っていたとしても日本の8か所あったドームで、恐らく健在かも知れないと言うのは、最大で5か所だろうと言う事も聞いた」
「そんな情報・・確実じゃないけどよ、それはさ」
「だが、地図は確実にあった場所を示していたからさ・・その位置に無い以上は、天変地異だって少なからず関係がある訳だよ」
「その天変地異だがな、俺達の住んでいる地域は、過去500年の中で、大きな地震が3回と、噴火が2回あったようだ。それも1000年周期の規模のものが一度に集中したようにあったから、今の所大きな地震や噴火が無いような感じだとは聞いた」
「それも・・確実なものでは無いだろうが、何となく頷ける。日本は地震の頻発地帯だ。その中で、関東にある一番でかい中央管理システムがやばいだろうって?それも、冗談だろうって思った」
「推論さ・・皆は偽情報も、本当の情報も入り乱れ、その中で振り回されている。取捨選択の連続なんだよ、ずっとな・・でも、確かに大きな津波が襲った可能性も高い」
「それならば、噴火もあり得るわな・・富士山と言う巨大な火山もある」
「綺麗な山だったんだろうな?でも、そんな山は無かったぜ?確かにぐちゃぐちゃの巨大な岩山は見えたが・・」
「じゃあ、噴火したんじゃないのか?100年前・・いや、もっと前かも」
「もっと前だったら、その時には中央管理システムが健在だろうが、アホだな」
「あ・・そうか、そうなるよな・でも。その後に建設された可能性も否定できないじゃん、津波も可能性だって、地震だってあるんだからさ、アホはお前もだぜ?」
「こら・・互いにケンカしているんじゃねえよ」
こうして、彼らは本当に仲が良いし、まとまっていたから喧嘩になる事は無いのだが、
「ま・・色々俺達もやって来た訳だ。発電設備も順調だし、心配したけど間欠泉噴爆は規模が思ったより小さかった。それに量子発電所や、量子衛星なんて言うのも当面要らねえわな?それで構わないんだな?皆」
「ああ・・シンがそう決めたんなら、それでいこうや」
「おいおい・・そこはもう少し突っ込んでくれ」
「あん?じゃあ、やろうやって言うのかよ!シン」
突っ込んだのはランだ。




