仲間集結
こうなると、80国と予想される先進的国家の中で、本当に有効な生体武器を持つ国は、半分位では無いかと言う見解も出て来る。これも、あくまでも推定だ。情報がシャットアウトされた100年後の現在の世界では、こう言った作業を積み重ねていかないと、守勢から攻勢に移行する事は出来ない。否・・攻勢とは言わない。少なくても8か所あると言う日本の国家内のシェルターと連絡をしようと模索している段階だ。そのシェルター内でもこの組織と同じような方向に行き着けば、互いに連携が出来るかも知れない。そして、こちらは敵国では無いのだから、きっと協力も得られるに違い無いし、同様の考えで一致すれば、まずは人口問題・・これは、秘匿されているようだが、女性の姿が見えない事だ。しかし、確かに学校と呼ばれる時代には女性は居た。しかし、実動部隊には皆無だった。事務系の仕事に従事しているのだとしたら、シン達に出会う機会は少ないだろうが、そうでは無い何かの理由があるような気がしていた。
そして、非常に興味深い物が出て来た。アナログの写真機である。これを使える者などは殆ど居ない時代だったのだが、やはりどこにも古い機械を愛するマニアは居るものである。実動部隊の精神的異常をきたしたが、現在は通常業務に復帰している者が情報提供をしたのである。
シリマツが、そのアナログ写真を現在の組織内にあるデジタル画像に置き換え、エライチームに見せたのである。
「これが・・」
「そう・・だからね、オオコウモリと呼ばれるもので、羽を伸ばせば、1.5メートルにもなる。特に、日本はこのオオコオモリを保護の名目にある場所で繁殖させており、我々が想定した生体武器に合致した。少し前に持ち帰った糞だが、このオオコオモリのものだった。DNAが一致したのだ。更にそのDNAを調査する事によって、変異を起こしている事も確認出来たのだ。戦争は確かに回避された。醜い国同士の争いはシャットアウト出来たのかも知れない。しかし、シェルター外は野生動物の天国と化し、これらの大型捕食動物が難なく食糧を手中に出来る環境になった。皮肉なものだね。我々が知る、地球と言う星が美しい自然と、見事な建築様式で文明を謳歌していた過去の時代を見ているものと原始社会が対比として存在している。しかし、これは本来あった原始社会では無いのだ。恐らく新たな食性のピラミッドが各国に出来上がっている事だろう」