第三章そのニへ 新たな局面へ
「はい・・そのつもりで増設したつもりですが、先に言ったように絶対的なものは存在しません。もし、私が大丈夫だと胸を張るようなら、逆に不安にかられると思います」
「成程・・それを聞いて安心したよ、シン班長の考えには共感できる部分が多い。それは、ここまでずっと一緒にやって来て、君の企画や提案が的を一回も外れていない事もあるが、それより何より、君にはそうとうしっかりしたコンセプトがあると言う事だよ」
「コンセプト?あの‥慣れない言葉で・・」
「あ・・ふふふ。私も古い時代のDVDを良く見ていてね。その影響で、会社の組織の在り方やトップの思考などを学んだんだよ。我々を含め、殆どのドーム内の者は、そう言うDVD等を閲覧して来たからね。特に私はそうだった。つまり、しっかりと練り上げられた、下地と言うか思いつきなんかじゃなく、目標や、その芯たる下地の理論に確固としたものがあると言う意味だ」
「それは・・少し過分な評価に思えます。自分の場合、全てにおいて自信など全くありません。むしろ、ランやリンにおいて、俺はこうだと言う技量を誇れるものや、コウタ班長のような幅広い知識もありません。またエライ首班のように鉱物やこれも幅広い知識も御座いませんから」
「ふふ・・シン班長・・だから、貴方を慕う方も多いんですよ」
シリマツ官吏は笑って、それ以上は言わなかった。シンは何でこんな自分より年も上で、優れた者達がこうも持ち上げてくれるのかが分からなかった。それに、全て直面して来た現実に向かい合って来ただけだ。その分、今回の予想だに今も出来ないが、先人にはきっと大丈夫な目算もあったのだろう。なら、どうしてそんな大事な資料を保存して残しておかないかと言う腹立たしい部分が残る。しかし、恐らくそれも動かしてはいけないAIに保存されているのだろう。人類は、もうAIに頼ってはならないのだ、コウタ班長や、ダンとはそこで意見の相違がある。彼らは、利便を追求し、なるべく人類の負担を軽減し結果を出そうとする。悪い事では無いと思う。しかし、それをやれば再び人類は今もそうであるし、どうしようも無い事なのかも知れないが、そう言う文明の利器に頼ろうとしつつある。どこかではっきりした警鐘を鳴らさねばならないのでは無いかと思っているのだ。
どちらかと言えば、エライ班長やシリマツ官吏の考えの方が近いような気がした。その前述したダンだが、先の話の中で、幾分考えを変えて来たようにも思える。
その後発電設備をいかにして守ろうかと言うシンの考えに少し安心したか、発電の事について話が出た。
「シン君がこれも考案してくれた触媒乾電池は、非常に効力を発揮してくれて、かなりの電動車が稼働している。大したものだよ、これだけを取って見てもシン君が相当の知識量を持っている証左だ」
「いえ・・たまたま、こんなものが無いのかなと思った時に、今では相当に自由に閲覧出来るようになりましたので、過去の発明・研究のものがHITしただけです。当時は色んな原料や資材があって、無数に発電に関する発明もありましたが、コストや、やはり利便・供給・・もっと言えば、国家が運営する企業では無くて、民間が企業を運営していたんですよね、だから、利益を得ない、薄いものは切り捨てられた。その中にこれがあった訳です」
「確かに・・企業の事を私も言ったが、組織の中で、そう言う大学や、企業形式を取り入れ、そこで学んだ一人として、いかにコストを下げ、且つ他社に負けない良いものをと言うのを追求した時代があったようだ。尤もそれをやり遂げて来たのが日本人だと言う事も分かり、私も過去の実業家と言われる者達について調べた。私が理想を述べているのもその影響かも知れないね、ふふふ」




