第三章そのニへ 新たな局面へ
「どこに?」
「まず・・もう一度監視小屋に戻ろう。そして、ラン・・お前にその銃は進呈するよ、その為に持って来たんだ」
「おう!そうか・・これは凄く良い。俺が練習していたものとは段違いだし、弾が弾けて飛ぶ初速と終速が殆ど変わらなかった。それに、俺はもう少し弾が放物線を描くと思ったんだが、数ミリ狙った所より上だった。勿論、一発で仕留めたけどな」
「ふ・・そこまで分かったのかよ、お前も化け物の一人になっちまったな、ラン・・ははは」
シンが笑った。シンがランに渡したのは、狙撃目的の現在第2ドームの中にある旧時代の武器の中でも、非常に優れたものだった。それがランの体型やここまで練習してきたライフル銃とマッチしていると思ったのだ。
「化け物・・それを言うなら、シン・・お前も十分もう化け物だって・・」
ランは正直な気持ちを吐露していた。既に周囲の人間を見事な采配で能力を見切り、その心情も看破し、動かしている事を知っているからだ。
監視小屋には、誰も近寄れないようにした。
シンは、珍しく酒をランに勧めた。アルコール類は保存が利く。旧時代のワインセラーや熟成したウイスキー等も地下に保管されている。組織のトップ達が飲んでいたようだが、シン達にそれが配給される事は無かった。エライ班長が仕切るようになって、少しずつそれが解放されて来たのだ。
「お・・沢山は飲んではいけないという制限があるけど、結構美味いんだよな、この酒って言うのは」
「ははは・・確かに、余り多く飲まないように制限されてはいるけど、まあ、飲もうよ」
シンが勧めると美味しそうな顔で、野外の彼らだけが何時も携行しているオオコウモリの燻製肉をあてに、2人は小さな器にその酒を入れて飲み始めた。
これは、ランとシンと言う人間関係がもう完全に出来ているからだ。2人は、話し始めた。




