仲間集結
「ここまで一気にこの日話が進むとは思っても見なかった。だが、諸君にとっても急激な情報だろうと思う。では、この日は、ここまでにしよう。我々が出発するまでには、まだまだ準備も必要だからね」
確かに、間は大事だった。そして、この会議の中で、シンと言う存在がチームにとって重要な位置に居る事は、全員に伝わったのだった。それぞれに、やはり無傷で戻って来たエキスパート揃いだった。そして、10年間と言う調査の結果が、初めてシリマツの参加と言うチーム編成の中で明らかになったのだ。組織が隠さねばならない情報が沢山あると言う事も、話の中で理解出来る。この組織内に、出て行く事が出来ないにしろ、他のシェルターと称したが、連絡がつけば、互いに又、愚を学ばない戦争になるだろう。しかし、今度の戦争とは恐らく尽きようとする資材、食糧の事になる。もはや、危険とは言えど、生体武器に攻め込まれない以上、限られた人生、何事も無く息が止まるまで過ごしたいと思う者が圧倒的に多いに違い無い。命を捨てよとさえ教育されてきた実動部隊と真逆の論理が、そこにある。しかし、この部屋での会話は他の部署に一切漏れる事は無かったのだった。
それから、約3カ月は、訓練と様々な情報の整理で明け暮れた。組織内部では100年前からある在庫の資材で、ある程度の科学的機器は使えるが、組織外では全く原始的世界だ。だが、敵生体武器が、蝙蝠であるらしいとの今度はかなりの信憑性が出て来た。それは、持ち帰った動物の糞の中に、ある特徴を示すものがあったそうだ。シリマツが、そう言う部署と行き来できる唯一の者だと言う事で、シン達に伝えられた。
まずは、超音波を発すると言う蝙蝠に対するのは、超音波を排除する機械音だ。これは、機械と言えば語弊が生じるが笛の一種だ。音源は、電波では無い。だから、遠隔地には届かないが、数キロ先まではモールス信号のように伝える事が出来る。そして、夜行性だと言う蝙蝠の生態自体が、幾ら突然変異を起こそうが、そこまで変わる事は無いだろうと言う事だ。何故ならカラス生体武器を襲えるのは、夜行性の蝙蝠は有効だ。そして、全世界に分布する。その素早さや、武器によってカラスに攻撃を加えられる手段となる。