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第一章 進の日常
少し溜息をつきながら若山室長は言う。そのシンは、
「お言葉ながら・・その企画書を、いい加減に出したつもりはありませんが?」
「何!お前は、こんな書面を出しておいて、開き直るつもりなのか!」
再び若山は怒った。部屋の空気が少し凍った。うお・・反論しやがった!シンの奴・・いつものように、黙ってへいへいと謝っていれば良いものを、中には「チ」と舌を鳴らす者も居た。
「開き直るつもりも、いい加減な仕事をしているつもりもありません。それに、配置転換と言う事でしたら、この場で、辞表を出して退任させていただきます」
「おおっつ・・」
周囲の空気がざわざわとなった。
「な・・何い・・」
若山は、流石に黙った。チームが全滅したと言う過酷な現場に派遣されるのを拒否するのは、当然の事だ。シンにはそれだけ言い切れる過去があるのだ。それには周囲も納得する。シンは続けて言う。