仲間集結
「あの・・100年前と言う言葉を軽く聞いていました。100年と言う間に、人類はどの程度文明を失ってしまって生き延びられたのでしょうか?」
「組織外に生き延びている人類は、皆無に近いと思う。何故ならば、我々が10年で失ったメンバーは、100名にも上るのだから、こちらから攻撃しなくても、攻撃をしてくると言う現状を諸君も体験しただろうし」
「では・・我々もカラスに襲われた?」
「いや・・そうとは限らない。当然、T国の生物兵器に対抗する対象を各国とも開発していた事だろう。恐らく生物兵器はそのカラス変異体に対する、生物兵器が主であろうと思うのだ」
「その生物兵器の寿命は?」
シンが突然、そんな事を聞いた。シンがその先の話を切り込んだのだ。
「シン君のレポートが、その点をつかれていたね、拝見した。確かに・・寿命と言う事は、大きな視点になるのかも知れない。例えばカラスの天敵はほとんど居ない。故に生物兵器として開発された事が良く分かる。その上で、通常は15年~20年と言われていた」
「いた・・と言うと?」
「うん、人間と同等の寿命に改良されたと言う事を聞いている。何故なら、野生では無く、食糧を定期的に与えられたならば、どんな動物であろうとも寿命は延びる。人類だってそうじゃないか?」
「まあ・・そう言う事になるのかな、じゃあ・・人間と同じく戦闘カラスは改良されたと?つまり、対抗する生体も同じ位にあると見て良いのですかね」
ほう・・シンの視点が、そこにあるのかと一同は少し感心した。それほど寿命を持つ生体武器であるならば、100年後の今は、第2世代、第3世代が生まれている可能性が高い。そして突然変異を起こす可能性が高いと言う事と、天敵が居ないのだから、子孫の数も相当に増えているだろうと思われる。それに対する、組織の武器は皆無だ。空から攻撃して来る知恵のあるカラスに、対抗出来るもの等は無いのだ。だが、カラスを目撃した事は一番出撃回数の多いシンも今まで無かった。つまり、この組織外の周囲にはシン達を襲った、カラスに対抗し得る為に開発された生体武器が居ると言う事だ。そして、もう少し間違った分析かも知れないが、少なくても旧日本と言うこの国の組織外には、一種の生体武器が居るのだろうと言う推理に行き着く。その生態の寿命も、カラスと同等であろうと言うこれも推理である。