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シンカラス  作者: 白木克之
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第三章 その一決意

 場所を移した時、すぐ兼真は詫びた。シンが何か聞きたくないような繰り返しに気の無いような雰囲気をしたのを感じ取ったのだろう。


「ここで脈路が戻るようですが、申し訳ありません。私の性格でしょうが、順を追って言わないと、下手なので・・説明が」

「ふふ・・良いですから、時間は十分取りましたので、ゆっくりで」


 シンは分かってくれたかと、心で失笑していた。


「再度申しわけありません!シン班長が今や前線部隊に中心メンバーになられていて、お忙しい身を私も承知しているのに、長話になってしまって」

「大丈夫です。有益な情報を提供して頂くのに、私が逆に礼を言うべきですから」


 シンは、相手との距離をいっさい開けなかった。それ故に、シンの所に人が集まる構図が展開しているのだが、それを兼真室長も心を開放させていた。人が人を動かすのは、心だ。シリマツ官吏の話術もあるが、信頼的にはエライ班長を中心に、実働班は非常にしっかりとした班体制になっている。脇がその組織的なものを自然と構築しているし、今の大目標とは人が、どうこの自然と向かい合い、その方向性を見出すかだ。ここで敢えて足を引っ張ったり、妨害するような愚を起こす輩は出て来ないとシン達も見ている。権力の抗争が起きるのは、弱肉強食の世界では無く、文化を持った人間社会の性なのだと神野黒服はシンにそう言った言葉も鮮明に蘇った。


「さて・・私は重大な情報として、今言った遺伝子工学的な世界の専門家ではありませんから、客観的事実のみをお話致します。人類はその開発100年後にある法則を発見しました。定向進化と、環境依存による自然変異と色々説明もされておりますが、その遺伝子の中には、偽遺伝子として環境に準じて使わなくなって機能が眠っているのです。つまり、人の体には、言語中枢を司るコミュニケーションが発達した結果、所謂他動物達にあるような危険察知能力であるとか、所謂、勘と言ったものに置き換えると説明が出来ます。もともと自然治癒力を持つ人間が、その知恵により医学の発展、薬の開発で抗生物質等を多様化した事で、免疫力を低下させた。しかし、もともとバグのあるような遺伝子は、淘汰がされないから・・いえ・・長い目で見ると淘汰されていくのでしょうが、障害を持った個体が埋まれる。その為に遺伝子工学と言うものが急速に進化して行ったのです」

「言われる事・・良く理解しております」


 まただ・・そんな事なら、やはり聞かずとも分かっているし、まどろこっしいなとシンはさっきそう言ったものの、やはりこの兼真室長は説明が下手だと思った。


「そこで、人の遺伝子にもメスが入り、数々の難病も克服して行き、動物達にもそのメスが入って行きました。もはや、こうなってしまうと、人類の手ではどうしようも無いからあらゆる学習して行くAIプログラムがより開発に拍車をかけて行きました。そして、本当の生体武器の誕生と、電磁パルス爆裂とは同時系列なのです。核の抑止はあくまで抑止であって、それを使う愚かな国及び、管理システムは作動しないように人の制御は放棄されていたのです」

「使えなかったと・・核が?」

「そうです。核は平和利用された時期もありました。原子力発電所ですが、こんな危険なものを製造し、抑止として使用する事は、最も愚かな行為であると流石に人も分かっていたようです。ですので、生体武器を開発した・・しかし、それはあくまで人間的遺伝子改良と言う副産物としてです」

「人が先だったと?改良が?」


 シンは、眼をぱちぱちとさせた。ここの話は、初めて聞く説だったからだ。

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