仲間集結
「ああ・・そうだよね、君達には何の情報も知らされては居なかった。いや、知るべき必要性が無かったと判断されていた。しかし、近年、この考えは間違いであったと気がついたのだ。確かにその方向性はあった。何故ならば、我々が愚かな過去、歴史だったと断定できる根拠の一つとして、各国のスパイ、情報合戦により、入り乱れ、盗まれ、また盗み合い、この世界は非常に一種即発の危険な状態に陥っていたからだ。もはや、それは人智を超えて、制御出来ないものであった。一つのボタンが押されれば、世界は一瞬で壊滅したからだ」
「その一つのボタンとは?」
「諸君達もカリキュラム受講で習ったかと思うが、核の脅威に全ての国が支配されていた。又、サイバー攻撃でデータが盗まれていた。工作員が散らばり、その国の内部破壊を目論んでいた。それは、仕掛ける国も仕掛けられた国も、同じだと言う事だ。つまり各国は、どんな電波にも侵されないシェルターを作ったと言う事になる」
「これが・・今の組織?」
「そう呼ぶが、シェルターとして作られた」
ここで、ようやく彼らも、何となく現在の居る場所の事が分かったのであった。
シリマツは続けた。
「シェルターと同時に、核に今度は変わる生物兵器を各国は開発した。我が国日本がどのような生物兵器を開発したのかは、分からない。このシェルターには、そんな資料もないし、又、一番愚かな行為・・電波破壊ミサイルによって、成層圏は完全に遮断されたのだ。つまり、各国が攻撃対象とした衛星による攻撃・核・通信が遮断されたという事になる。又、その事により電力が使用出来なくなった。つまり原始の世界に戻った訳である」
「愚かだっ!」
サテン、ウテンが同時に声を発した。
「そうだ。愚かだ。科学の先端競争が一つの行為によって、自らも破壊される事を知りながらも自分の国を防御する為に行ったのが、その事だ。もはや、取り返す事は出来ない。衛星は無用の長物に変わった。そして、何よりも驚異なのは、生物兵器が野放しにされた事なのだ」
「あの・・生物兵器と言っても、我々が組織外に出て調査出撃を繰り返して来た事にあると思いますが、どのような?」
「うん、それもカリキュラムでは教わった。この星には我々以外の生物が、数千万種居る。その中で、知能を持つ者、持たない者・・或いは微生物、ウイルスまで含めると、数億種・・いや、数え切れない種の生物と言える存在があるだろう。例えば、蚊を例にあげよう。その蚊を使い、伝染病を持つ個体をばら撒けば、この現状下では、あっと言う間に人類など絶滅してしまうだろう。だが、流石にウイルスや、細菌、微生物などの生体攻撃を行った国は無いのではないかと思われる」
「それは何故?」
ランが聞く。