第二章その五 黒服に会う
「その結果は最悪だ・・この通り、我々の指令とは雖も、判断の誤りは更に人類の悲劇を生み出す事になってしまった。私達第2世代の皮膚も同じ事だった。紫外線にやられこの通り黒服で皮膚を覆い隠す事しか出来なくなったのだよ」
「それで黒服・・」
「そうだ。だから本来は現場に出て時には陣頭指揮をし、激励しなければならない立場の私達だが、この年齢になり野外に出る事は出来なくなった。つまり、我々の寿命が尽きかけようとしているからだよ」
「え・・」
これには驚くとか、そんなレベルのものでは無い。絶望を感じるシン達だった。
「言うべきでは無い事は承知している。しかし、言わねばならない義務もある。しかも君達5名の特命メンバーだけには、真実を知って貰う必要がある」
「我々?つまり第14班だけにですか?」
「そうだ。君達5名が、第1世代トップ5のDNAを受けついでいる。即ち現黒服5名の後継者となる」
「ええっつ!」
とんでも無い話が連続して出て来る。
「そう我々も時間が無い。そして、残った35名の黒服の中で、第2世代の30名は既に活動を停止した。いや・・出来なくなったのだ。内紛と君らは思っただろうし、意図的に我々もそう言う風に捉えられていた方が都合も良かったのだ。君らが注射をした事を覚えているよね?それは免疫力を高めるためのものと説明も受けた筈だ」
「そう聞きました」
「勿論、その理由もある。しかし、それだけでは無かった。君達は確かに現在25歳と同じ年だ。もうすぐ26歳になる。誕生日も同じだと言う事も説明しようか」
え・・と5人全員が思った。試験管ベビーだったと言うのは、このドームの第3世代全員がそうだと聞いたばかりだ。驚くことばかりの披露をされるのは、ずっとこんな感じだったから小出しのその情報には、正直うんざりとしている。しかし、その穴を埋めるように神野黒服は自分の身体の事、電磁パルスの影響の事、オオコウモリ放獣の事、第1世代、第2世代の事、DNAの事まで先にリンが、少し性急に聞いた事で怒られたが教えて貰っているのだ。優秀な5人だ。そのDNAが第一世代トップ5の遺伝子そのものだと言われては、自分達の中に眠る潜在能力を自覚しないでも無かったが、ここに来て納得せざるを得ないようだ。だから、一言一句漏らさずに聞いている状態だった。
「特別にと言えば、勿論そうなのだ。我々も含め、東京にあるメインAIが日本の全ての人々の管理を行っていた。各地にあったのは端末AIだ。その時代には我々だけでは勿論無い。個人識別番号が生まれた時から割り振られている。よって、外国からスパイやその他の者が侵入すれば識別番号によって不明者の割り出しが可能なものになっていた。本来はそう言う目的上に作られたものだったのだよ」
「はあ・・」
やはり黙って聞くしか無かった。




