第二章その五 黒服に会う
「そうだ・・君達も恐らく第2ドームを発見した時から塔の存在を不思議に思っていた事だろう。塔が発電設備であると言う事は、断言しておこう」
「やはり・・」
「そう、優秀な第14班の君達だ。そして、私が直接特命メンバーに指名した5名なんだよ」
「そうだったんですね・・」
「うむ・・何故そうしたかの事と、我々第2世代と言われる者達を少し知って頂きたい事も含めて、今日はやっとだが、君達だけに言っておきたくたね。勿論ヤマイ君にも伝えて欲しいが、他の者には絶対公言無用だ・・良いかね?」
「え・・はい・・」
絶対公言無用とは・・シン達の目の色が変わった。
「あ・・だからと言って、君達を厳罰したり、罪に咎めるなんて言う事はしない、安心してくれ」
「ふう・・良かった。俺、自信があんまり・・」
リンが言うと、神野黒服はにこっとする。その笑顔を見て安心した。
「君達を指導していた頃から、私は顔を隠し、黒い制服を着ていたからね。本当の姿も分からなかっただろう」
「・・・」
また、何を言い出すのかは予想もつかない事だった。
「私のこの黒服は特殊素材で出来ている。もう少し詳しく言えば、紫外線が当たると、私の肌は耐えられないんだよ」
「え・・」
初めて聞く情報であった。
「第1世代の事を言っていたよね。第1世代は、集団自決したと君達は判断し、そしてある程度のそれが既成事実化となっている」
「はあ・・」
「だが、違うんだよ・・第1世代は電磁パルス爆裂が起きて20年後、冬眠から目覚めた。その時には我ら第2世代が既にドームの中で中心となり、働いていた」
「そうだったんですね・・」
「だから第2世代の実年齢は、最高齢で95歳なんだよ」
「あ・・でも65歳以上の人は・・」
ランが言うが、
「そう・・居ないね。我々もある活動後20年の冬眠をした。即ち、第2世代の最高齢が65歳と言うのは、黒服の者達の活動年齢で、実年齢は85歳となっている」
「うわ・・そうだったんですね」
「これも初公開だし、極秘の事だ。だが、君達は非常に優秀な観察力と洞察力で既にかなりの部分で感じ取っているのでは無いのか?」
「い・・や・・それは」
シンもリンもランも口ごもった。ケンは、真っ直ぐに神野黒服を見つめていた。ケンにはそう言う想定があったのかも知れない。聞いた事は無かったものの・・




