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シンカラス  作者: 白木克之
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第二章その四 個性

「100年以上も人間が野外活動をしていないんだぜ?この1年でここまで来た。それこそ、進歩じゃないのかよ。少なくても、俺達は十分に外の空気を吸っている。その昔の薄汚れた空気じゃねえ、公害の無い新鮮な空気だ」

「このままオオコウモリや、他外敵に怯えて暮らす生活かよ、相当窮屈じゃないか」

「窮屈さ・・そんな事は分かっている。でも、どうしようと言うんだよ、リン」

「俺は、結構遠くまで出かけている。山切りの木もまばらで生えていない所もあった」

「リン、お前ぐらいだぜ・・そんな冒険をしているのはさ。で?何か見つけたのか?」

「大きな湖がある・・周囲はやっぱり森林に覆われているが、かなり鹿やら野犬が居た」

「魚は?」

「それが・・殆ど見られないんだ。いや・・俺は見た事が無い」

「ふうん・・やっぱり電磁パルス爆裂でやられちまったのかなあ・・」


 シンは顎を擦った。水の中でもその影響があると言う事だ。なら海洋生物もやられているだろう。


「たださ・・魚は当然水の中に潜って見なきゃ、水面からでは分からない事もあると思うんだ。でも、カエルとか水棲動物や昆虫は居るだろう?普通は」

「それもさ、大型動物がやられちまう位のパルスなんだから、消えていても不思議じゃない」

「ああ・・そうか。それで妙に静かだったんだ。鳥も居ないしさ・・DVDで見た自然って言うのはそうじゃ無かったから、不思議に思って見ていた」

「まあ・・俺は全ての動物が一端地球上から消えたとは思っていないんだよ。そんな振動で肉体の組織が破壊されるようなものだったら、各国の生体武器も当然やられているよな?」

「そりゃあ、そうだろう?その前提でシンも話をしているじゃんかよ」


 リンは不思議な顔をした。

 シンは、この時も驚愕するような事を言った。シンの思考回路は、異次元でさえ思える。次から次へと確かに推論だが、実際それが現実になって行く様子をリンも体感しているからだ。


「俺は、皆にも公言して来た。何故第1世代が突如冬眠から覚め、そして数年後に消えたのか・・祭壇の様子、今解析中のカード、光ケーブルも含めてその理由も徐々に明らかになるものだとは思う。しかし、リンが見た風景は、現状を鑑みて、何故危険生物であるオオコウモリを解き放ったのかの1点において、矛盾がある」

「矛盾?絶望したと言うその理由によって?」

「ああ・・その理由こそ、最大の俺達が解明すべき問題なんじゃ無いのかな」

「でもさ・・だって、それは今から明らかになるのでは?」

「明らかになるだろう・・でも、それは原理原則であったり、稼働システムであったり、今取り出せている情報は、今のシステム管理についての事だ。第1世代がどう見ても後世に託して集団自決するには、余りにも無責任だし、それこそ、重要な伝達を行って居なければ、少なくてもその後95年・・もう96年になったが、歳月を生き抜けた環境があるのに命を絶つ理由さ」

「それは・・俺達が命について、軽いものだと思っていた。そう教わって来た事にも関連があるんじゃ無いのかい?」

「あるかも知れないね。でも、その第1世代がその上司達に、超科学の恩恵を受けて寿命も延びた時代にそんな事を教わるだろうか」

「俺には分からない・・でも、シンがそう思っている先は何だ?」

「俺は、世界中の生体武器や動物が消滅したとは必ずしも思っていない。確かに、移動手段である殆どの船、飛行機、車・・そして建物は破壊されただろうし、シェルターにしても、脆弱な構造の物は破壊されただろうと、俺達が今の世界を見ていると分かる気がする。でも、科学力が進んでいた国は他にもある。そして、AIに代表されるように、そんな予測をしていない先進国も無かった筈だ。彼らは電磁パルス攻撃を用意していた。抑止力としてではあるが、核戦争の抑止・そして、電磁パルス攻撃の抑止だ。そしてリンが見た水棲動物すら消えた現状を見れば、水中でもその電磁パルスは発揮されたものと見る。ところが・・俺達は例外を見てしまった」

「鉱山奥にあった、旧日本の武器や、祭壇等か?」

「そうだ・・地下に関しての影響は出なかったと考えるのが自然だし、事実第1ドームに置いては、地下坑道を掘削していたし、保管庫もある。地下には恐らく届かなかったんだ。電磁パルス爆裂が」

「ほう・・謎解きがだんだん現実味を帯びて来るよな、そう言う話になると」


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