第二章その四 個性
「何をびっくりした顔をしているんだよ。ラン、俺達には出来る事と出来ない事がある。分かるか?」
「俺の力量では無理だと言うのか?」
「おい、ラン、シンはそんな事を言っている訳じゃねえぞ?」
リンが口を挟んだ。
「ここには、それだけの装置が無い。力量の事なんて一言も言ってはいない。何だ?ランは自分でそのカードの解析でもやろうと思っていたのかよ」
「う・・それは」
「あーーあ・・やる気満々だったと言う事か、じゃあ、俺がとどめを刺してやるよ、ラン。一個人が、もはや出来るレベルを超えている。俺達がやる事は、何の為に通路を構築したんだ?この坑道内ケーブルを繋ぎ、第2ドームまで延長させるべく進言をするためだ。そのカードは、俺が思うに、第2ドームの今部分的解除を可能にした、コウタ、メイ・リー。ヤマイ4人達の力量もそうだが、それだけの装備を持っているからだ。それを明確にするためには、報告するべき義務を負っている。そうだろうが?個人感を優先する立場じゃ無い事を、今一度お前も分かっておけよ」
厳しい言葉だった。親友ランだからこそ言える言葉だったのかも知れない。
「分かった・・俺は気になると、とことん追求したいタイプで、止まらなくなっちまうんだ。この検索がHITした事で、少し脳内がいけいけと言っていたようで」
「ははは・・俺達だって分かるさ。気持ちはさ・・でも、シンは個人主義でここを探索した訳じゃ無いんだ。前からそう言っているようにさ」
「ああ‥済まん」
こうして、シン達の行動によって更に、固く閉じられていた鍵の一つが開こうとしているのは、確実となりつつある。
コウタ班長は非常に驚き、そして喜んだ。
「そうか!それなら、第1ドームから坑道までの線は恐らく繋がっているだろうし、その高速回線ケーブルなら、第1ドームの中のLANを形成している資材だ。幾つか種類もあるが、部分的に断線している部分と、偽山切りの木を連結させたら、そこから一番近い通路まで通路工事を行って貰おう。なら、ここまで第1ドームと第2ドームの通信及び、若干の電灯等の部分も改善出来る。何よりも第1、第2ドームが繋がる画期的な進歩だと思うよ」
これでシンもほっとした。有効な発見になったと思ったからだ。
ここでヤマイは、
「そのカードを見せて貰おうか?もしや、この第2ドームに関する情報もあるかも知れない」
「でも、そのカードは、1システム、1枚なんだろう?」
シンが尋ねる。




