第二章その四 個性
「何?いきなり今度は天井の話かあ?」
ランが天井を見上げる。
ケンが笑いながらリンに聞く。
「天井・・おい、リン。どうやって登る?天井に」
「ふ・・あるさ」
リンは、そう言いながら奥からこれもどこに隠していたのだろうか、何かを引っ張って来た。ランも思った。こいつらだって、色々やっているじゃないかって・・
「リン、お前はやる気まんまんじゃんか・・はは、ここはランに任せとけ、俺は俺のやりたい事を先にやる」
リンが、ランにここは任せとけと言いながら、何と梯子を用意して来たのである。
「ええっ!梯子なんてあったのかよ」
「あったんだよ。それが、滝つぼの下にな」
「何時・・それを」
「ずっと前からあったのは知っていた。錆もしないでさ・・特殊合金なんだろうな・あ・・第2ドームと同じか・・マグネシウム合金ってやつ?軽くて丈夫って言う素材」
「ああ・・確かにそうかも知れない。でも、滝つぼの下にって、リンが探索したのかよ」
「お前達だって、水浴びしていたじゃんか。その奥にあったぜ。この滝つぼを利用していたと言う事だよ、鉱山の者が」
「違う、違う・・そんな時代にマグネシウム合金がある訳きゃねえ。第一世代だ。持ち込んだのは」
「ふ・・じゃあ、もう一つ出て来たじゃ無いか、疑問がよ」
リンが鼻に小じわを寄せた。
「この野郎、リン、お前もそんな大事な発見をしていたのなら、早く言えってえの!」
「あははは」
シンとケンは、リンにじゃれ合っている。遠目にランがにやっと笑った。チームの心はきっちりまとまっているようだ。
「お前らだっきゃ・・本当に自分勝手に行動をしまくりやがる」
ケンも苦笑い。どんどん彼らと行動する度に新情報が出て来るのだ。梯子なんて大事な情報が今頃出て来るって、一体何なんだよと言う事だ。そして、それこそ第1世代が確実にここを利用し、祭壇を設けたと言う証左の一つになるのだ。
結構頑丈な梯子で、しかも軽かった。そして、延ばせば十分天井まで届く。勿論身軽なリンが梯子を利用し、点検する役目だった。リンが力持ちのケンに言う。




