第二章その四 個性
「いや、壁とか天井とかさ・・ここを勿論第1世代が利用していたと言うのなら、器具を置いていたとか、寝泊まりしていたとか、色々利用出来る筈だと思ってさ、事実俺達はここで食を取り、寝泊まりをしていた。ドームに続く安全地帯な訳だしな。外敵なんか居ないし、敵にも襲われる事も無いだろうし・・」
ランが、ここはヲタクっぽい発言だ。
「いや・・115年前と言えば、こんな洞窟であろうと、熱を探知したり、例えば鉱脈を発見したり、かなりの光ソナーと言う物も発展していたらしいぞ。だから、生体武器にも、もぐらのようなものが居てもおかしく無かったと言う事だ。例えばそのもぐらに爆弾を装着しておけば、対象をどかんとやるんだ、まあ、俺が考えた生体武器なんだけどさ」
「ひえ・・恐ろしい事を想像して言いやがるな、ランはよ」
ケンが言う。
「はは・・心配するな、ここにはそんなものも居ねえよ。それに、そう言う装置が使えなくなったんだろうがよ、オオコウモリみたいにな」
「確かに、そう言う事だな・・それにコントロール出来ない生体武器なら、それは武器では無いよな。危険生物ではあるが」
リンが納得する。
「で?ここに何かあるのかって言う話か?それらしい物が2つあった。それだけか?シン」
「いや・・じゃあ、もう一度しっかりと見てくれ。皮のかばんの底に厳重に包まれたものだったんだ、それも何重にも包まれていてさ、直接手で触れたらいけない気がしてさ、手袋を装着してみたんだが、これだ、もう少し良く見てくれよ、ラン」
シンが、慎重に包装を解くと銀箔色の説明通りの名刺サイズのカードが出て来た。先ほどのメモリーカードじゃないのかの発言は、まだランが十分に見ていない段階の言葉に過ぎなかったのだ。
「ん?何だ?これは・・」
ランもリンも・・それを見て、首を傾げた。
「分からないか?お前はメモリーカードじゃないかって、先に言ったぞ。違うのか?」
「あ・・いや。あくまでも現実を見ていない段階での推察だ。ああ・・それとは違う気がするぜ、そして、それだけ厳重に包まれていると言う事にも違和感がある。初めて見るものだ。おい、シン、これは、かなり重要なものかも知れない。コウタ班長に聞くか?」
「ランでも分からないか・・でも、今コウタ班長は、色々やっているからさ、そんな時間は無いかなと思って、それでお前たちをここへ呼んだんだよ」
「そうか・・じゃあ、少し待っていてくれ。俺のPCを持って来る。発電機も必要だろう?」
そう言い、ランは戻って行った。




