第二章その四 個性
「いや、その上でだ。その時代の・・つまり100年少し前の科学最先端の生活や、教育を受けていた者達が、そう言う宗教に、絶望を感じたとしても縋るかなと思ってさ」
ケンが頷く。
「成程・・ふうむ・・言いたい事は分かった。けど、実際このような宗教的祭壇があって、そんなに古い時代の物では無い事も分かっている、つまり100年前後の話だ、造られたのはな、また、恐らく指紋なども検査されていると思うんだよ」
「指紋?」
逆にシンが食らいついた。ケンが自分の予想範囲を超えた返答をしたからだ。
「何を驚いているんだよ、シン。それは、ドームに存在する全ての者のデータがある筈だ。そして、俺達の体には、識別番号や、DNA情報を収めたマイクロチップが、生まれた時から埋められている。つまりさ、俺達が実働班で行方知れずになった時にも、少し前なら、電子信号が使えない以上、探索される事も無いって言われていたが、実際電磁パルス発生の衛星は、20年を経ると効力が半減し、30年後にはその電磁パルスそのものが消滅していると言う事が、明らかになった。けど、それまでにあらゆる通信網が遮断され、構築物は悉く破壊された。ドーム内で守護され保管されていた物は使えるが、結局その探索は、ソナーが行ったと言う事だろうが?」
ここへ来て、ケンからすらっとそんな言葉が出て来る。シンは驚きを隠さなかった。シン程の男でさえも、そこまで把握はしていなかったと言う事なのだろう。彼の視点はもう少し他にあったからかも知れない。シンは言う。
「じゃあ・・俺達が監視されていたのも、その装置が今も作動しているから?」
「だからさ、隠密行動見たいに思っているけど、組織は誰がどこに居て、何をやっているのか、そんなものは全て把握しているって言う事だよ」
「そうか・・そうだったのか」
「おいおい、シンらしくねえなあ。そうか、それが特命メンバーと言う部分かい。じゃあ、その服には遮断されるものがある筈さ」
そこもすらっとケンが暴露した。
「ケン・・今、お前の知識が今どんどん披露されているから、俺は聞き役になるが、じゃあ、第1世代の話に戻って、生き死にも全部分かるって言う事だな?」
「ああ・その遮断下着か?シン、一度聞きたかったんだよ。ヤマイとシン、他に誰が着ていた?他に居るのか?」
「聞く役は俺だって言うのに、俺に聞くか?他は知らないよ」
「俺だ・・」
「え!ケン、お前?」
「きっと、リンもそうだ。ランも同じだと思う。それが第14班のメンバーさ、きっとな。必然的に5人が組まれているように思う。俺達は、まだ特命メンバーであり、恐らく任務が、これから先にもあるんだと思うんだよな。じゃあ、俺の話をする。死んだと言う情報はきっとあるだろう。だから、第1世代は居ない。第二世代が65歳以上の年齢の者が居ないのは、第1世代の子孫だからだ。それに寿命が縮んだ訳じゃない。それ以上の年齢の子が居なかったからだろう」
ここでこんな話になるとは思わなかった。しかし、ケンとはそんな話をした事も無かったのだ。