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シンカラス  作者: 白木克之
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第二章その四 個性

 こうしてシンとケンは、再び旧鉱山坑道内及び、どうしても気になる偽山切りの木が、何故精巧に作られたのかと言う疑問を解決すべく、傍目から見れば奇抜なタッグと思われるかも知れないが、ケンには、頑丈な体と似合わぬ繊細な糸に対する造詣が深い。とても知識もあり、少々短気な部分を持つが、頼りになる奴である。ケンは、特にシンに対してかなりの信頼性を置いていて、ここまで色んな行動を一緒にして来た事もあるし、今は同じ14班だ。共に行動する事に、何の違和感も無い。むしろ、もっと一緒に行動して来なかった事の驚きの方が大きかった。少し嬉しさを感じるのであった。


「何か、久し振りだよな、シン班長」

「よせやい、班長なんて言うな。勝手に上がつけた階級なんて俺には関係が無い。シンで良いよ。でも、色々ケンが糸や繊維の束の事でやってくれていて、助かったよ。今では殆ど監視小屋のロープや糸はケンの発案だもんな。それにまだ鹿網にも少しだけど鹿が入って来るようだ」

「鹿もここへ入れば危ないとは思いかけているんだろうが、でもさ、この前コウタ班長が言っていたように、ドームから放たれた全ての動物には、遺伝子操作がされていたんだろう?知能は関係なかったのかなあ」

「それ・鹿が馬鹿だって言っているぞ、ケン」

「あ・・馬・鹿ってか・・あはは。でも、オオコウモリ程知能は無いや、それなら、幾ら俺達が精巧に作ったとは言え、誘導されないだろうしな」

「確かに・・ふふ・・」


 割とこのように波長も合うのである。不思議なものだ。エライ班が組織されて集ったメンバーとは、最初から親近感もあって、同じ班である、ラン、ヤマイ、リン、そしてケン等はずっと一緒にやって来たかのような感覚もあり、やろうとする事にも同感部分があった。


「最初から、この偽山切りの木が何の為にあるのか、不思議に思っていたんだよな」


 シンが言うと、ケンも今回の行動はそっちかと思いながら、


「確かに旧鉱山に続く通路があった。と、言う事は、第1世代と言われる者達がここを利用して、野外に出たとは思っていたが」

「利用していたと言うのは頷けるものの、それでは何の為にこんな精巧な木を作る必要があったのかな・・と。それに電磁パルス爆裂後にこれが出来た訳では無いだろう?もともと第1ドームが完成した時にはあったと考えるのが自然だ」

「当時からあったと俺も思っているさ、シン」


 ケンもそう言うのだが、山切りの木が、既に20年後の世界でこれだけの大木になる筈も無かった。


「一つ、やはり想像になってしまうが、第1ドームにこの通路は繋がっている。電磁パルス爆裂の観測をしていたと言うのは、どうだろうか?」

「20年を経ない中での観察だと言うのか?だって、20年後の半減期でさえも、動物達は生きては居なかった、だろ?試験的に放されたとは言うが、そこはおかしいと思った」


 シンは、ケンも同じ事を思っていたのだと頷きながら、


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