表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
287/1722

第二章その三 次の一歩

 敢えてコウタ班長は、念押しをした。もはや誰もが頷く他には無かった。少し厳しい顔になっているコウタ班長の顔は、言えと言われたのだから、全て披露するつもりのようだ。その決心の程も見てとれた。


「では・・塔の分析は、正直今からだ。しかし、是が非でもしなければならない。何故ならば、この塔の役目こそ、生体武器の動きを止める、或いは他国の生体武器にも有効であろう、高分子砲・・何故、そんな名前が突如として電磁パルス爆裂が起こる以前より建立され、準備されていたかは先の説明通り、電磁パルス爆裂より前に生体武器脅威が迫っていたからだ。そうならないと、電磁パルス爆裂後にこれが作動しても、動植物の殆どが消えてしまった20年後の未来の光景には、何の意味も無い。そして、電磁パルス爆裂を停止させる目的でも無いだろうと言う推論の元、目的は分子生物学の応用を何等かの方法で生かす・と言う方向性に落ち着いた。我々を含む、恐らく第2ドーム・・または同じように生き残った人類が居ても、もはや、遺伝子操作が実行されていない個体は皆無だ。このような遺伝子操作が実行された段階から、生物の未来は大きくそこで変わったのだ。そして、本来人間が文明と共に失って来た数々の能力も、この遺伝子操作によって、ある者には開花され、またある者には、特異的な症状を伴い伝承されて行く。パルス信号の事を言ったが、世界には環境ホルモンと言う物質もある。説明すれば、内分泌攪乱物質(ないぶんぴつかくらんぶっしつ、英語: endocrine disruptor)とは、環境中に存在する化学物質のうち、生体にホルモン作用をおこしたり、逆にホルモン作用を阻害するもの。2003年(平成15年)5月の日本国政府見解では、「内分泌系に影響を及ぼすことにより、生体に障害や有害な影響を引き起こす外因性の化学物質」と定義されている。そのような文献についても過去のデータにあったので、紹介しながら、要するに、生体武器に作用し、その存在を壊す物質を放出すると言うものなんだ。人間や他の動物には作用しないと思われる。それぞれに、作用する物質が違うから、主はその後の日本におけるオオコウモリ生体武器がこの先生き残った場合を想定している。と言っても、もはや第1世代はこの危険な生態を野に放ってしまった。そして、まさか、間欠泉熱量による電力稼働?これっておかしくない?どうにも矛盾が多すぎて、俺には暴論だと思っていたんだ、シン班長はどう思う?」


 急にシンに話が振られた。どきっとするシンだった。


「え・・俺?俺に今その流れで間欠泉動力の事を聞くのか?」

「ああ・・君はずっと、間欠泉のデータを調べていて、不規則なそんな自然のものを重要視はして居なかったと見ている。間欠泉の動力がどんなものかは知らないが、そんなものを期待して稼働するような装置では無く、恐らく温泉成分によるものが何か関連性があるのではないかと思っていた。そうじゃ無いか?」

「それ‥君が言っているように推論じゃないか、コウタ班長」

「ああ・・推論だよ。でも、君はそれがもし重要ならばと、ずっと調べていた筈。しかし、今は第2ドームの方に注力をしていたから、観察は続いているものの、少しその時間は取れては居ないだろうし、本来それは君の役目じゃないなと自分も思っていたんだ」

「まあ・・実際、そんな稼働方式もあるのかと思ったし、高分子砲なるものがどんなものかと言う想像も出来なかった訳だしね。それに、俺達は最初っから、何の情報も与えられては居なかった。全員がそうだけど、コウタ班長のように分析したり、資料がある部署とも違うしね、目的はエライ首班と共に、第1ドームから繋がる2つの施設の探索・発見だった。だけど、塔を発見してから、どうもこれは奇妙だなとは思っていた。ここから、何を発射できるんだろうかと思った。何の機械的稼働部分も無いのにさ、構造自体も分かりゃしなかった。それが正直な所さ」


 コウタはここで頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ