第二章その三 次の一歩
少しエライ首班達の息も落ち着いて来たようだ。どおん、どおおおんと大砲の音がする・リンは、平然と3組に分かれて、それぞれの群れのリーダーを狙って撃っているのだと言う。その中心も、ショウ、シン、ランだと、ここに居ながらまるで見えているように言うのにも驚くのであった。
「今回は、満を持してのオオコウモリの一斉攻撃だから、簡単に奴らも退けませんよ。思う以上に自動連発銃も効果を発揮したようだし、十分に人間が強敵だと彼らも分かっていると思います。人間によって改良されたオオコウモリが、人間に牙を剥く。そして人間によって殺されようとしているんだから、本当に皮肉なもんだと思うっすよ。でも、これは生き残り戦争なんだから、このまま当たらず触らずに済む問題じゃない。彼らも気づいたんすよ。こいつらとは共存が出来ないって。人間の方が無理々ってとっくに結論を出しているんだけどね、ははは。でも、俺達には明確な排除方法が無かった。何しろ、そっちは圧倒的兵隊ですからね」
「そうだ・・だからこそ、注視しながらも刺激しないようにやって来たのだ。でも、何で急に?」
「恐らく塔の発見・・そして第2ドームまで人間が進出したからでしょう。また象の道なんて、どうしてこんなものが出来たのかも不思議だったけど、実に正確だった。俺は象の行動も注視していたんすよね」
リンが言う。
「何と・・象の動きを君が?」
「ええ・・たった3頭しか居ないじゃないっすか、親が」
「だな・・でもたった総数5頭だ、正確にはね。それもインド象らしいね、少し小型の」
「5頭だったんですか?」
「そうだよ?似ているからね、判別はつきにくとは思うが一応2つの群れだ。でも、一緒に行動する事もある。相対する関係では無い」
「俺達より、詳しいじゃないかですか」
エライ首班の説明に、眼が点になるシン達だった。
「まあ・・君達にそんな余裕は無かっただろうし、そこは分析の一応プロだからね、あっちにはそれ相応の機械がある訳だし・・」
「あ・・そうか‥糞・・」
マコト副長が気づいた。
「その通りだ。DNAで判別出来る」
「でも、インド象って、アフリカ象よりも気が荒いって聞いているが?」
それにもリンは、明確に
「そう言われていますよね、実際図鑑などで見ると、そう見えますけどね」
ここはエライ首班がその言葉に反応する。