第二章その三 次の一歩
シンが、周囲を見回したが、
「ふ・・そんなもの・・ぽんと、そこらへんに転がってある訳じゃねえよ、シン」
ランがクスッと笑う。
「はは・・どうしてもすぐ反応しちまうわ」
シンも頭を掻いた。それが、コウタ班長をして、シンの少し近寄りがたい部分のある所を解除させて、親近感を持ったようだ。ここからコウタ班長もシンに対する警戒を解き、今まで伝えなかった事も、かなりの所で情報提供をするのであった。シンが、どうしても何か大きな能力を保持し、特命メンバーだった事もあって、余り表に自分を出してこなかった部分があった。それを知らぬ者は、距離をどうしても彼と開ける事もあったのである。ランはその性情を一番理解しているのかも知れない。普通に友人として付き合って来たのだ。リンも、そう言う部分があるが、非常にその点でいけば反面開けっぴろげな部分がある。ある意味特命メンバーだとすれば、危うい部分も見え隠れするが、逆に人間的に信用がある。
「俺達は、メイ・リー博士とは別行動にしよう。ここはキョウ班長にお願いし、2人をガードして貰うが、構わないか?シン」
「コウタ班長・・俺に聞くのか?それを」
シンが言うと、
「ふふ・・現場の今班長はシン・・君しか居ないじゃないか、ここには」
「そうか・・なら、ヤマイもキョウ班長と一緒に。それに、色々役立つかも知れないよ。彼もその部分は非常に博識だ。プログラム位は作成出来るレベルだから」
「おっと・・そう言う部分が、シン班長。もっともっと先に言ってくれよ、前面に出して貰わなきゃならない情報だよ」
コウタ班長が苦笑い。
「君が、情報提供をしてくれるなら。勿論だ」
ここで、一方的に情報提供者にはならないぞ、と言う暗なるシンの念押しがあった。優秀なコウタ班長には、ギブ&テイクなんだなと即理解した。それにラン、リンが一緒に行動すれば、一歩進む事も、数歩先に進めるに違いない。コウタ班長が、やっぱりシンに対して認識を強めたのだ。現場で一番行動的で判断力、洞察力など総合しても、人格の優れたエライ首班・専門の語彙力を身につけたシリマツ官吏より、この男しか居ないと思ったのである。
3人と2人はすぐ連絡がつき、キョウ班長もそっち系の男だ。ガードの傍ら、早速幾つかのキーワード、セキュリティーコードについて、メイ・リー博士に助言をするのだった。実働班のメンバーが?当初困惑していた2人の博士であったが、驚くべき彼らは専門的知識も持っている事にすぐ気がつき・・