第二章その三 次の一歩
「はは・・人より少し感受性が強いと言うか、俺が特命メンバーに指名される前に、あらゆる想定と言うか、分析専門の訓練を受けた。確か・・もう1人居たと思うんだよ」
「それが・・リン君だよ、シン班長」
「うおっと・・」
後ろから声が聞こえて、おおっと言う顔でシン達は振り向いた。シリマツ官吏とリンだった。
「驚かせて済まない。だが、私もそうでね、私の場合は弁論術と言うか、指導者になるべき訓練を受けた。例えば、それは君だけでは無い。この13名全てがそうだと思いたまえ。君達は、単なる実働班メンバーでは無いのだよ。だから、第1ドームの神野黒服によって最終的に選別されたメンバーなのだ。コウタ班長は、その13名とはまた違う、第1ドームの智力メンバー3名のうちの1人だ。後2名にもまた会う事になるだろう」
「何か・・そんな気はしていたんだよね・・」
ランがため息混じりに言った。
「そのラン君も、数々の訓練を受けた1人に間違いは無い。ただ、訓練を受けたからと言っても、たった10名のうち1人程度しか合格もしなかった。それだけ君たちは、優れた能力を持っていると自覚してくれたら良い。全て、自分の能力を披露する事は無いが、君達にはその事を披露する事によって、もう一度言うが自覚して欲しいのだよ、良いね?」
「は・・い」
シリマツ官吏は、シンとランの肩を叩いた。リンが、
「互いに比べあった事もねえからな、分からないよ。自分に出来る事は、お前達にも出来ると俺はずっと思っていたしな、ははは」
「馬鹿を言うんじゃねえ、お前の走りと、眼、そして特殊な耳なんて同じに出来るもんかよ」
ランが突っ込んだ。
「はは、そう言う事だ。リン、お前の身体能力がずば抜けているのは確かだ。じゃあ、俺も自覚しよう。シリマツ官吏、至急この俺の分析をコウタ班長とその残り2人に分析して貰いたいっす。何か、俺の勘が言っているんです。これは至急案件だとね」
「分かった。塔と高分子の関係は分からないものの、発動された場合、何か非常に危険な気もする。それに端末AIを稼働出来るのなら、少なくても発電設備が、稼働出来る事になる。産業資料館が、その為に厳重に遺されていたとするなら、我々は先祖の先読みに感謝すべきだと思う。同時に、阻止するのか、稼働させるのかを知るのは端末AIかも知れない。ただし、君達に言っておく、先祖を・・世界を牛耳っていたのは、人間が作ったAIだった。そのAIの意向が残っているのならば、我々は再びAIによって監視・管理されてしまうと言う事を」
「分かっています。しかし、俺は端末AIにはそこまでの機能は無いと思いたいです」
「それも、君の勘を信じるしか無いようだ。それに、今はそうすべき時なのかも知れない。私も、それを報告しに行く」
「はい・・」