第一章 進の日常
「自己紹介はした、サテン、ウテンだ」
「俺はシン」「俺はラン」「俺はショウ」・・そう言う呼び名でやっている」
「じゃあ、俺達もそう呼んでくれ」
ショウが早速質問をする。その前にサテンは、真黒な髪をしていて、首の後ろで短く束ねている。ウテンは、丸坊主。これから、右に居ようが左に居ようが、同じ顔でも判別は誰でも付く。しかし、2人のポジションは一卵性双生児にあるように決まっているようだ。
「お前達・・サテンとウテンも実動部隊だったのか?俺達3人は、共に現場と言う前線に出た。そして殆ど全滅に近い状態で戻って来た」
「俺達は・・少し違う。闘いは当然あっただろう。目に見えない敵が確かに居た事は分かっている。しかし、組織の塀の外に出た瞬間に、俺達が実用している電脳理機は殆ど使えない」
「おい、電脳理機と言ったか?今」
「ああ、言った」
サテンとウテンは同時に答えた。
シンとランは、2人を観察でもするように黙っている。主に会話をしているのはショウだった。
「それは、どんなものなんだ?初めて聞く」
「だよな。実動部隊で所持出来るのは、大型のナイフと槍、弓もどきの原始的な武具だけだった。そして、装具にしても簡単なものだったよな」
「そうだよ。それが当たり前だったじゃないか」
「しかし、お前達が知らないのは当然だと思うし、配属部署によっては、この組織内で習ったように、パソコンや、電子管理システムが作動している事は、誰でも知っている」
「だよな、自動監視システムがあるから、俺達の会話も丸聞こえさ」
「話を進めよう。つまり、俺達2人は、実動部隊と言ってもそう言う電子システム的な武具や、装具をつけて訓練をしていた訳だ。勿論、一端外に出れば、そんなものは一切使用出来ない」
「そこ・・知っているなら教えろ、サテン、ウテン」
今度はシンが、強い眼で質問する。