第一章 進の日常
「確かに・・優れたリーダーじゃないのかな、だって連帯部署なんて言うのも初めて知ったけど、俺達の所属していた部署の遥かに上だろう?その部門の主査だと言ったら、各セクトの室長や部長なんて遥かに格下なんじゃないのかな」
「ううむ・・そう言う組織の全容も分からないし、知らされてもいないけど、確かに上の方の者だとは言えるね」
ショウが頷く。
「その人が俺達のリーダーになるんだから、これまでよりずっとチームとして求められるものって大きいんじゃないのかな」
「それは・・そう言う気がする。そして、エライリーダーは、簡単に死ぬなと言っているしな」
「まあ・・俺達って、闘って死ぬって言うのを当然のように教育されていたような気がするんだけどさ。けど、実動部隊以外の奴らは違った。全くそんな教育も受けていないんだよ。死ぬなんて嫌だと言うような・・」
「それだ!」
ランが突然大きな声を出したので、思わず、シンもショウも引く。
「お・・おいっ!びっくりするぜ、全くよう」
「あ・・済まん。でもさ、実動部隊って何なの?確かに、他の部署と言っても殆ど知らないけどさ。特別優遇は受けては居るようだけど、お前らは死んでも良いから働けって、すごく不公平じゃ無いか?だって、同じような学校に行き、強制的にクラス分けされて、進むべき方向にだけ決められて今ここに居る。完全に、そして俺達って・・いや組織そのものが隔離されていると言う現状なんだ。他の世界・・つまり、あの巨大な門外に出た経験があるのは、実動部隊だけなんだ。そして、そこは、見渡す限りの木が生い茂る密林であり、俺達の育った風景とは違っていた」
「ああ、違っていた・・全然違う世界だった。それに重苦しい空気がどっと押し寄せて来たような感覚になった」
そんな会話途中で、いきなりだった。
「おう!なかなの分析だよ」
「誰っ!」
その声と同時に、2人の男がドアも開けていないのに、入って来た。




