第二章その二 塔動く
ヤマイがため息混じりに言う。反論は誰もしなかった。本当にその通りだと誰もが思っているからだ。こっちは少し冷静に・・
「おい、ヤマイ。今は入り口の事だ。オオコウモリの話より、こっちが先だ」
ランがヤマイに言うと、
「おう・・」
「くくく・・まあ、言いたい事は同感だけど、な?ヤマイ」
ショウが、ヤマイの肩をぽんぽんと叩いた。
「ふ・・分かっているさ、ショウ」
ヤマイもにこりと返す。
そして、シン達は、2本の木に囲まれたやはり東側にある、よく見なければ殆ど周囲と同化して分からない、雑草が生い茂った中にやや平になった道らしきものがあるのを発見した。
「良く見つけたなあ・リン」
キョウが言うと、
「へ・・俺・・眼だけは一番自慢が出来るんだよ」
「ふ・・すばしっこさもな、それに肥料の博士だし」
「よせやい・・」
シンが言うと、照れ臭そうにリンは笑う。
ここだけ確かに灌木は低く、それを踏み分けて行くと、左右に広がる丘の境界がなんとなく分かる場所に出た。やはり小道は続いていた。もう少し広い道であっただろう事は想像がつくが、シンが・・
「止まって・・」
手を挙げた。何か前方に見えたのだろうか・・サイレント銃を構えた。
ビシュン!シンはためらわずにすぐ撃った。短銃で何か仕留めたのだろうか。
「マムシだと思う。カリキュラムで日本の蛇の事を習った事がある」
「マムシ?毒蛇の?」
「そうらしい」
「でも・・おかしいぞ?毒蛇なんて電磁パルス爆裂で死滅したんじゃないのか?」
「確かに初めて見たが・・まさしく、それじゃないのか?ヤマイ」
ヤマイが正確に撃ち殺した蛇の頭部に、流石にシンだと感心しながら、
「まさしく・・*マムシに間違い無さそうだ」
「そうか・・じゃあ、少しここまでの情報の中で整理をしなきゃいけないぞ、俺達は」
「何で?もともと日本の地に居たのなら、奇跡的に何かの作用で生き残っていた可能性があるじゃないか?」