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シンカラス  作者: 白木克之
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第二章その二 塔動く

「あ・・そうか・・話を逸らせてしまって申し訳無い。続けてくれ」

「オオコウモリは、各国が核に代わる戦争生体武器の候補で、日本が独自に開発・改良しました。もともとかなりの巨体でしたし、飛翔スピードもあり、集団で生活する。つまり、武器としては高い生物兵器候補だった訳です。それに長生きもします。これが一番重要でしょう。ただ、繁殖には1頭のメスが1頭しか生まない。なので、多頭産めるように日本人らしい、誠に細やかな繁殖の遺伝子操作を行った訳です。これはT国と言う、既にその時世界を席巻していた巨大国の戦闘カラスに対抗する手段です。そして知能も飛躍的に上がったと思います。事実、今それは体現によってある程度把握もされている事でしょう」

「うん、そうだね。日本猿の群も現れたが、猿も非常に知能アップされているのだろう事は、見てとれた。だが、それ以上の知能を持つと分かる統率力があった。彼らは超音波伝達をするので、相当遠くからでも信号を認識出来るから、思わぬ所からいきなり襲って来る事もあった」

「ですね・・そう言う事なんです。そこで、先祖は更に、もしこのオオコウモリが増え過ぎて、戦争と言う使命を終えた後、自分達に向かって来る事を恐れたのと、巨大動物飼育にあたり、食糧となる餌の事も考えた。それが大葉と言う日本の植物では無いが、アフリカから輸入し、これは品種改良と言う地道な作業によって同時期に栽培された。これは、薬用でもあり、今オオコウモリ用の殺蝙蝠団子にも応用されていますが、人間にとっても少し前は毒性の事も言われておりましたが、簡単な処理をすれば、十分な食料にもなるのです」

「大葉が・・人間の食料になるとは聞いているが、オオコウモリにとっては毒だよね。でも、鹿はどうやら平気だったようだ。検証が進んで、それで繁殖用の餌になると言われている、今はね。鹿もどうやら、そう言う遺伝子操作が行われていたのかも知れない」

「そうですね・・こう言う何重にも安全策、防御にしろ、攻撃にしろ、そう言う事を地道に神経質程にやり遂げる辛抱強さがあるからこそ、日本人なのです。電磁パルスは20年を経れば、半減すると言われていました。その後シェルター外に飛び出した人間達は、何を見たのでしょうかね・・もはや、自分たちが築き上げた文明など欠片も残っていない事を目の当たりにした事でしょう。更に使用できると思っていた電子制御装置は、その時点ではまだ使えなかった。それはそうでしょう。もはや、各国をコントロールしていた、メインCPやAIが遮断されて使える筈もありません。半減期とは言え、電磁パルス爆裂はまだもう少し続く訳ですから、消えるまではそれは使えませんでした。そして、自分たちがそう言うシステムにどれだけ依存して生きていたのかと痛感した筈です、この時、周囲には草木一本も動物も皆無だったでしょう。電磁パルス爆裂によって」

「え・・だって、ここは密林で、動物達も居るじゃないか・」


 エライ班長達は、きょとんとする。


「その残り10年間なんです・・日本人はその半減した電磁パルスを防御出来る装置を既に開発していた、しかし、その効果は第1ドーム、第2ドームの周辺だけにです。その他は、全くその期間を経ないと動植物は復活する事も出来ないでしょうが・・だからと言って、その半減期が、完全に人体や、動物生態に影響を与えないとは言えないと思います。また周辺だけどれだけの期間、その装置が作動出来たのかも未知数ですしね」

「え・・じゃあ、ひょっとして・・」


 シリマツ官吏が顔を上げると、マコト副長がシン達と喋っていた事に合致した。時間差でここへ話を持って来たのには理由があった。その先兵を、シン達に託したのだ。それは彼が誰よりも状況判断力が高く、身体的能力が優れていると思っているからだ。エライ班長達の13班には恐らく別の動きを期待したのに違いない。このコウタは、そこまで考えられる天才だったのである。


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