第一章 進の日常
「ああ、そう言うチームも勿論居たさ。しかし、それはしっかりとした分析や、死ぬ事を恐れない猪突猛進が招いた結果だと言える。闘いにおいて、幾ら身体能力に優れていようとも、戦略が無かったら、簡単に勝負は負けだ。そう言う事も必要になったのだよ、分かるかね?」
「でも・・俺達は生まれてから、ずっと、そう言う教えを受け、適正に応じてコースに分かれて、訓練を積んで来ました。それなりに、自負するようですが、能力もあるつもりです」
ランが、眉毛をきりっと吊りあげ少し反論を。
「だからな、それは組織としてまだ十分じゃ無かったと言う事さ。その反省と経験値を持って、我々もステップアップしなければならない。幾ら身体能力が優れていても、今度は知恵・・脳力と言うものが要るんだよ。その為の訓練さ」
ここまでそんな披露をしてくれたリーダーは、皆無だった。エライリーダーが優れた者だとは分かっているが、その一言で3人共付いて行こうと思ったのだった。
3人が部屋に集まった。こうして会話を交わすのは、ショウと言う美女と言ってもおかしくない男が、どんな者なのか理解しておく必要があった。確かに、シン達の闘って来た相手は、得体の知れない対象であった。その対象が、自分達人類において多大な危害を加えているらしいと言う事は分かる。そして、組織とは、その得体の知れない相手の全貌を探る事にある。勿論、防衛と反撃・攻撃をも求められているのだろう。それにしても広大な敷地内で各々の施設や、組織構成も知らされていないのは不思議な事だ。各セクトに行くには通路があり、また守衛門を通らないと入る事が出来ない。つまり、簡単に行き来する事が出来ないと言う事だ。
ショウも勿論、実動部隊に適正があると判断されたメンバーの一人であった。正確には、両性具備だと披露してくれた。姿形は女性でも真から男として育ち、染色体においても男だと証明されているのだと話す。そんな知識も実はシンやランには無かった。
「ふうん・・では、今までの実動チーム編成を大幅に組み変えているらしい・・んだな?ショウ」
「ああ・・間違い無いだろう。でも、色々情報をかき集めて見ると、シンの居た企画情報室を監視、管理するのが、俺の居た情報管理局だ。だから、シンよりもう少し詳しい情報も得た。俺が得ると言うのは許容されていると言う事だし、ここでお前達に話す事も許容されていると言う事になるよな?」
「まあ・・そう言う事になるのかな」