第二章 ドーム外編
ヤマイの言葉には、シンも唸った・・そうだったかも知れないと思っていたからだ。コウタ班長も、
「だね・・それは、自分の分を超えている言葉だけど、そのAIが人類の未来を停止してしまったと見るのが、今の所の分析では、主流となっている。悔しい事だが」
「じゃあ・・電磁パルス衛星同士の攻撃もAIが?」
「ああ・・その選択がベストだと判断したんだと思う。それこそコンマ何秒かの判断だし、この一瞬で世界を破滅する危ない核抑止力均衡の世界ではね、少しでも偏れば、先に消滅するのが、どこかと言う話になる。だから、人間がそんな事を決断してボタンを押す筈が無いし、危ない電磁パルス発生衛星同士を攻撃したのもAIなんだろう、だって、人間がボタンを押すその1秒の何分の1かの時間内で全てが判断される世界なんだよ、最初のコマンドを出した瞬間に世界は終わる」
「俺たちはずっと、何て愚かな先祖だって思って来た」
「ははは・・愚かなのは確かだよ。こんな滅亡を招く世界を創ってしまったのは、ご先祖様だ。本当に愚かの極致だよ、間違いなく」
コウタの笑いに、シン達も苦笑する。結構喋りやすい男だ。はっきり本音も言うし、隠し事なんてしないだろうなと思われた。
「で・・?何か分ったから、ここへ来たんだろう?コウタ。それもさっきから監視小屋に居たが、ドームから真っ直ぐにここへ来たよな。俺達14班の所にさ」
「分かったかい?そうだ。シン班長の14班に用があって来た。俺は、第14班が、実績も能力もナンバー1だと思っているからね」
「何か・・すげえ・おだてられているんですけどお」
シンがやはり苦笑い。
「いや、本音さ。間違いなく、シン、ラン、ヤマイ、リン達はナンバー1メンバー達だ。勿論エライ首班、シリマツ官吏の13班がまとまっている事も分かっているけどさ。それでも君たちは、数々の実に提案と実績を示して来た」
「もう良いよ、褒めて貰うのはそこまででさ。で?何を言いに来てくれたんだ?コウタは」
「ああ・・AIにブロックされていた幾つものセキュリティーを破ってね・・それも一度ミスるとロックが掛かって、なかなか進まないんだ。それはシン・・君も経験済だろ?」
おっと、と言う顔でヤマイがシンの顔を見ながら言う。シンは、すかさず軽くいなした。
「あら・・コウタ・・お前は怖い奴なのか?もしかして」
「いやいや・・企画情報室で、俺が行き着くまでの幾つかのそのコード突破をやった者が居た。それがシンだと分かるまでには、幾つものやはり検証もあったさ。でも、そこまでが限界だっただろう?そんな企画情報室の端末で探れる事は、限度があったと思う」
「そうか・・それをコウタが看破していたか」
シンが少し硬い表情になる。