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シンカラス  作者: 白木克之
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第二章 ドーム外編

「いや、確かに全てのシェルター外の発電装置、通信機器は破壊されただろう。凡そ電磁パルスは連鎖反応的に爆裂の名の如く発生する。衛星に太陽光パネルを搭載しているから、充電設備を持ち、次から次へと半減期と言われる25年にわたり強烈な電磁パルスを発生させた。そして、その時には危険を察知し、核は変わらず保有していたが、原子力発電所及び、核兵器の殆どは、宇宙や、深海、或いは地底深く封印された。地上からはもう消えていたんだよ。その例を挙げては、目的は違うし、そのような廃棄場所でも無いのだが、シェルターの地下保管庫を見ても、そう言う掘削技術も日本が一番優れていたのだよ」

「ですが・・日本以外の国は?放射能の始末ができていないのでは?」

「それもシェルターによって封印されたと見られている。何故なら我々のドームを開発・製造したのは日本であり、日本はそれを世界各国に販売していたからだよ。そして、ほとんど地球上全ての国の核シェルターは日本製だ。その事も明らかになった」

「では!我々のようなドームが世界各国に残っている訳ですか?」

「否だ・・その質問は、愚問と言わざるを得ない」

「あの理由を‥済みません。こう言う話題が一度に出て来て混乱しております」

「ああ・・尤もだね。自国防衛の為に日本はシェルターを勿論製造した。しかし、販売したのは、核兵器、原子力発電所、核廃棄場所への使用目的だ。我々の住んでいるような大規模なシェルターを販売すれば、世界の秩序がまた変わる。日本は売らなかったよ、勿論だと言う事になる。真似をしようにも、その技術を各国は他の軍事力に向けていたからだと冒頭に説明したようにね」

「あ・・そうですよね、確かに」


 質問した者は、納得したようだ。


「そこで、塔の話に何度も戻るようだが、間欠泉動力の発電所だと私は言った。これは確かと言う意味ではない。構造的に、螺旋の階段があって、壁に複数の電極が埋め込まれている。これは蒸気の熱を受けて、稼働し、この塔より厳重に封鎖された第2ドームの扉が開く仕組みだと想像されている」

「それがこの塔の役目ですか!」

「だから・・それは確定では無いんだ。どんな間欠泉噴爆と言おう・・その周期があるのかすら分からないし、間欠泉があるのならば、我々がここを発見して、もうかなり経つがそんな気配はなかったしね」


 エライ班長が、少し首をひねりながら続ける。


「そこで、観察しよう。我々は電磁パルスの影響で、全く野外で電子制御、信号によるものが使えないと教えられて来たし、今まで使おうとすら微塵も思わなかった。だが、先日、電機駆動の僅かに残っている、車を動かして見た・・そしたら、稼働するんだよ、これが」

「ええっ!それなら、どれだけアナログで徒労にも思える作業を・・」

「それも、極く最近分かった事だ。黒服の1人がその情報を持っていたらしい。保身か何か分らぬが、非常にこんな情報を秘匿しているとは、腹立たしい事だよ」

「何と・・足の引っ張り合い、勢力争いって・・もうひょっとしたら、日本にはこのドーム内の5万人しか生存していないかも知れないと言うのに?それも食料も尽きかけているし、機械類も何時ストップするのか分からないのに・・」


 聞いていた全員が呆れて絶句した。そんな電動の物が使えているのなら、もっと早く死地なんども遭遇したような実働を強制せずに、稼働させよと思った。何でそんな思考が働くのかと言う事だ。


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