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シンカラス  作者: 白木克之
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塔までの道

「信用出来るのかよ・・キョウと言う奴は・・。何か口が軽そうだし、べらべらと喋りやがる」

「俺も・余り話をした事は無いのさ。ただ、あいつの優秀さは際立っていた。だから、一緒に行動する中で、あいつが有用な意見を出すかどうか、リン・・お前がそれなら奴が不審な行動をすれば、殺れ」

「え・・?殺る?」


 ところが、シンの余りの強い言葉に、リンが驚いた。


「そうだろ?その位の覚悟を持ってなきゃ、13人で野外行動なんてしないさ。その決意を俺達は示している。だけど、それに従わないのなら、あいつだって、もう組織には戻れないんだ。だから、あいつには分かっていないだろうが、一人で生きるには死ぬ、確実にこの大自然の中でな。だから殺してやるのが情と言うもんだ、俺はそう思う」

「シン・・お前は、そう言う判断をする人間だったんだな・・分かった。俺が監視する。キョウを見ておく事にする」


 シンはそう言ったが、心の中で実際そう思っているかどうかは、他の者には分からなかった。その言により、リンは性格的にキョウの監視に集中できる。その判断も出来る者だった。ただ、それ程強い気持ちで仲間同士がいないと、すぐこの班は、ばらばらになってしまうと思っていたのは事実だ。これ以来、リンはラン、ヤマイと同様に完全にシン派になったのだった。それだけ野外で生きると言うのは、厳しいものだとシンは言いたかったに違いないのだ。それは、すぐキョウにも分かるだろう。

 シン達が少し重たい荷物を持ち前線基地に戻ると、キョウは良く喋る奴だ。キャラクター的にも明るい。すぐ何人かと打ち解け、色んな話をしていた。エライ班長は許容力のある人物だ。懐も深い。その人物像も、話題を振りながらも、流石に特命のメンバーだ。その者達の性情を把握しているようだ。ただし、シリマツ官吏には異常に警戒をされていた。それはこの後もずっと続く。リンもそう言う意味で、キョウの監視役となったが、怪しい空気は、微塵も見せる事は無かった。考えて見れば、キョウにとっても失う事は何も無いからだ。そう言う意味では彼らと同等と言える。しかし、偽山切りの木、岩山、鉱山跡坑道、宗教遺跡、戦争武具保管庫等の情報は、一切シン達が漏らす事は無かった。シリマツ官吏が黒服に情報を渡されたのだと言う事で、キョウも納得していたようだ。

 そして、塔の探索が本格的に開始される。油壺をどこからか調達して来たシン達に、キョウは質問をしなかった。弾の補充についてもそうだ。組織から渡されて保管していた場所があって、その武具のお陰でエライ班が助かったのだと思っている。それで何ら疑問に感じる事も無く、本来のそれが方向だと思ったのだ。


「これで塔の上部まで行く事が出来る。窓も無く、何の為にこの階段があるのかも分からないが、とにかく登る。そこで全容を記録する」

「あ・・俺がそう言うのが得意なので、記録しときますよ」


 キョウが申し出た。シンが居るので、その点は大丈夫なのだが、エライ班長は、


「うん、頼むよ」


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