塔までの道
エライ班長の指示でさっと石が詰められた。すぐ近くの木を切り出し、テコの原理でそれを突っ込むと、やはり蓋のようだ。石板はぐぐっと持ち上がる。
「おおっ!やったぞ、やっぱりここは入口のようだ!」
4人掛かりで今度はそれをひっくり返した。どどん・・石版が取り除かれ、やはり階段が地下に続いていた。ここは油のランプが要る。これも旧戦争武具の中にあったものを使う事にした。結構こうなると前時代と馬鹿にするものでは無い。十分なアイテムになっている。
「誰か勇気のある者は居るか?ここは一度に入れない。何があるのか分からないから、一人が後方支援、2人で、まず階段を降りて貰いたい。他の者は、外敵出現に備えてこの辺りを防御する。そして、雨が降って来た。大葉の傘でこの地下階段から水が侵入しないように、木切れで屋根を作ろう。こちらも急いで頼む」
「はい!俺達2人が潜りますよ」
手を挙げたのは、シンとランだった。一番呼吸も合う二人だ。共に身体能力も高いし、記憶力や状況判断力に優れている。
「良し、無理はするな?危ないと思ったら、ラン君・・サイレンサー銃だけでは無く、連射砲を持て」
「連射砲・・?何が出て来るんすかね」
ランの眼が点だった。しかし、漆黒の闇だ。シンが提案し、油壺を所々置いて行く事にした。こうする事で足元の灯りも、この地下に続く階段周囲も分かるからだ。
外で待機するメンバーは銃を構え、又木を切り、至急の拵えで地下道に続く入口屋根を造る。そして、潜ったシン達を上からもう一人降りて行った。ショウだった。ショウは狙撃銃を握った。本当に何が居るのか分からない地下道だった。塔には一切窓が無い事から、外の光が射して来る事は、坑道のように無いからだ。ランプを照らすのは酸欠の可能性もあるから、慎重に降りて行く。
「今の所、酸素が不足しているような感じは無いな。それに階段も底が見えないような深い気配は無い」
ランの状況判断だった。冷静に見て行く。ショウが後から続いて降りて来たのも2人は察している。ショウが周囲をきょろきょろと眺めている。今の所、何も変化も無いようだ。
壁は真っ白で、やはり大理石で出来ているようだ。かなり立派な創りであるように思えた。
「結構立派だな・・これはどの時代のものなのかな」
「第2ドームなら、同じ100年~150年前のものなんじゃないのかい?」
後ろでショウがそう言う。