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シンカラス  作者: 白木克之
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塔までの道

 動物観察は終わった。大蛇の道が以外にも、塔の方向に続いていて、彼らも歩いた。そして猪や、今まで見かけなかった*熊や、野犬なども出現したが、サイレンサーで無慈悲を言うべきか、否、やらねば襲われるのである。彼らは撃ち殺した。もう襲っては来なかった。人間がいかにこのような武器を持ち、自分達を倒す事が出来るのか恐怖を植え付けたのだ。そこに躊躇するような彼らではない。そのような教育も受けていなかったし、そんな躊躇は皆無であろう。弱肉強食の時代では強いものが相手を倒す、食すのである。

*今の所出現数は少ない

 その前に観察の結果として、行動範囲、密度からある程度割り出して、猪が約1万頭と以外に少なく、鹿が2万頭、熊が500頭、野犬が意外に非常に多く、5万頭は居るだろうと予測された。恐らく飼い犬が野生化し、交雑を繰り返し、本当野犬になった事なのだろう。生きる力も十分にあるらしい。彼らも考えて見れば多産だし、食糧となる*蛇、蛙、雉、鼠や雑食性であるから植物も豊富だ。一番適した環境なのかも知れない。オオコウモリの捕食対象にもなるが、彼らには牙がある。そう簡単にやられはしないし、こちらも知能が高い。猿も多かった。しかし、彼らは主に植物を食する。山切りの木にも登り、そう襲われる事も無かったようだ。こちらも1万頭は下るまい。牛も居たが、こちらは捕食対象になったのか、3000頭程度だろう。生きる力には弱かったのかも知れない。長年人間に飼育されていたからだ。馬は居なかった。他には居るかも知れないが見かけなかった。後は鳥類と狸、狐、兎だが、最も多いのは兎で、500000頭は超えると見られる。殆どの肉食獣の餌となるが、彼らは土中に穴を掘り、繁殖力も高い。そのような監察結果が出たのであった。

*大蛇が何故出現したのかは謎だが、普通種の蛇や特定のカエルなどは居た。その事もずっと先に明らかになって来る。一度全地球の地上の動植物は全滅している筈だった。しかし、特殊条件下で生き延びた可能性が出て来たのだ。そして、シン達第一ドーム周辺の地形や環境がそれを奇跡的に守った可能性も・・。


「以外の大型鳥類が少なかったですね。オオコウモリにやられるんでしょうか」

「もっと他で安全で捕食出来る場所に移動しただけだよ。何しろ空はオオコウモリの天下だ。地上にもそう彼らを脅かす敵も居ないようだな、この近辺には」

「食の方は足りますか?」

「何とか維持できるのでは?だから季節移動すれば・・」

「成程・・象の道がヒントになりそうですね」

「象は結果的に今の所周辺に生息するのは5頭だけだった。尤も妊娠期間が4年もあるんだから、繁殖力は弱いからね」

「はい・・」


 こうして、大蛇の道を選択し、現れる動物を排除していると、何時の間にか襲って来なくなくなった。そして放置していた動物の死骸は、オオコウモリがきちんと片づけてくれた。まるで彼らに餌をやっているようなものだ。こうすれば、オオコウモリは人間が便利の良い動物だと思うだろうか・・しかし、冗談で言うその言葉が、案外理に適っているような気がして来た・・何故ならオオコウモリは、もともと人間が飼って、訓練をしていた生体武器だからだ。どこかDNAの一部にその記憶が残っているのかも知れない。又人間と数万年生きて来た犬もそうだ。野犬は襲って来なくなった。彼らはもうある程度人間の言葉を解する所まで来ていた。


「子犬から育てれば結構*犬は役立ちますよね」

「そうだな・・余裕が出来たら考えよう」

*この何気無い言葉が、シンに後にヒントを与える事になる。


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