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シンカラス  作者: 白木克之
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決別 12名の戦士達

「じゃあ、山切りの木の話はここまでにして・・再々々襲撃のオオコウモリは、きっと第4監視塔からも黙認されているだろうし、連射砲の音がひょっとしたら、観測されたかも知れない。サイレンサー銃だけではとても倒す事が困難な大蛇だったらからね。でも、確かめに来る事は当分無いだろう。組織がやるのは、皮肉な事にサテン、ウテン君が提唱したコンクリートと大理石ブロックによる新ルート延長工事だけだろう。まあ、こちらは、時間が相当掛かるだろうがね」

「そうでしょうね」


 マコト副長が答える。今回は全員参加の検証会だ。これをやらないと、どんな危険にまた遭遇するのか分からないのだ。今回はエライ班長が議題を提唱する。シリマツ官吏は、今の所全く口を挟まなかった。実践では理論より遥かにそれは凌駕する。行動すべき大事な話なのだから。


「では・・生息動物の行動範囲、この大蛇の道は或る意味大きいと思うのだ。何故ならこんな大蛇が何匹も居る筈は無い。そして100年間の中で、オオコウモリが意図的に増殖されていたのは分かるが、自然界では一頭のメスが産む子は1頭か2頭だ。それがここまで多いとなると、さっきもラン君が提唱したように、食を満たす動物が必要だ。逆に草食動物は繁殖の一途を辿るだろう。特に多産する猪や、鼠などはね」

「猪が、案外・・少ないような気がするんですが・・」


 何時も寡黙なカンジが言うと、


「いや・・少ないと見えるだけで、オオコウモリの移動と共に、猪も非常に臆病で賢い動物だ。だから移動しているのでは?と私は考えていた」

「成程・・雨季を乾期と場所移動を・・」


 感心したように今度はケンが頷いた。


「象が移動する距離・・つまり、象の道は双方を行き来しているのではと考えた。旧日本の気象は亜熱帯気候。しかし、もっと古い時代の日本には四季があり、雨も降り、雪も降っていた。そして、大きな4つの島が繋がっていたのだよ、知っているよね、カリキュラムで習った筈だ」

「はい」


 それは全員が頷いた。


「だが、今我々が居る場所は、正式に秘匿されているのだが、どうやら九州と言う所らしい。それも北部・・つまり福岡周辺では無いかと思われる。根拠は、私は地質や鉱物を習っていたし、それの専門家に近いと自負もある。地層的にここが石灰岩の台地だと言う事だ」

「成程・・」


 シンが大きく頷いた。実はシンは知っていたのだ。しかし、シン以外にこの場所を言い当てたのはエライ班長だけだ。100年前は、8つあるドームの名称で、それぞれ地区分けがされていた。即ち、ここを第1ドームとしたらば、第2ドームとは独立したものでは無くて、この第1ドームに付帯する施設なのだ。本当の第2ドームは四国に2つ、中国地方に2つ、関西地区に1つ、中部地区に1つ、関東地区に2つだったと言う。それ以北は、居住するドームでは無くて、関東地区の主要ドームの付帯施設だと言う事だ。しかし、それがそのまま残っている可能性は低い。電磁パルスが強い、弱いの差は出る。多く宇宙で破裂した場所では、構造上どんなに強くても、100年前の都市機能を完全に破壊した。この第1ドームが、言わば奇跡的に残ったと見るべきだ・・それもシンが自分の直属の上司に言われていた事だ。所謂上司とは黒服と呼ばれる面々の中の一人である。今も組織がそのままの形でシンの上司がその位置に居るのどうかも分からないが、この数カ月で組織もかなり混乱し、ここも組み直されている図が見えて来ているような気がする。

 エライ班長は更に言う。


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