決別 12名の戦士達
「ラン君の素朴な疑問だがね、まさに我々は託されていた事は、勿論第二ドームの事もあるが、周辺のオオコウモリの生息数や、危険度も十分以上に察知しとかねば・・今も言ったように数も居るし、危険だとの再認識は言うまでも無い事だがね。その上で、大葉は組織でも調べていたようだ。ドーム内での栽培は一切なかった、それは、資料としてのサンプルがあったからだ。勿論現物は、実動班がドーム外に出るまでは入手する事も無かったが、敢えて組織内で何故栽培がされなかったのかと言う疑問も少なからず残る。このように、我々には与えられた情報が極端に少ないんだよ。でも、こうして特に君達のお陰だが、色々気付いた事も多く、今では分析も進んでいる事だろうし、カイ君や、シリマツ君もその方面には明るい。更にシンマップのお陰で、山切りの木が周辺3キロ圏内には整然と規則正しく植えられている事も分かった。ただ、大葉はバイオテクノロジーと言う古語の用語だが、それによって成長が早く、食糧、薬用の用途がある事も分かっていた部分もあり、今後は恐らく急速にドーム内でも栽培されるだろう。ただし、ドーム外に関しては、天然の肥料があるので大丈夫だが、ドーム内ではその肥料を作るのは難しいかった点も栽培をして来なかった理由にはなる。つまり、更なる改良も要求される筈だ。そう言う事を考えれば、まだ時間が掛かるだろうと思われる」
実に理路整然とエライ班長が言う。もともとこう言う分野に一番明るかったのは、エライ班長だったのだろう。奥ゆかしい部分があって、知り得る事を全部話さないので、今までこんな話を聞く事は出来なかった。話は続く。
「その上で、山切りの木が人工的に植えられたまでは分かるのだが、どのような目的があるのかは不明だ。しかし、ドームから3キロ圏内において規則正しく植えられている事を持って、又オオコウモリに対する忌避成分がその候補になったと思われるが、全くこの山切りの木については、過去日本で繁殖していた報告が無いのだよ、不思議な事の一つだ」
「その山切りの木については、海外から輸入されたとだけ記録がありました。原産地はアフリカです」
そう答えたのは、ショウだ。ショウは情報管理局に居た。かなり上の部署になる。
「おう、そうか。なら何となく分かる。残念なのは詳細に調べられていない事にある。尤もここまで大木に育っているからね。又これも不思議な事に、この若木が無いと言う事実だ」
「これは、想像に過ぎませんが、種も無く、花も咲きません。と言う事は、挿し木や接ぎ木による繁殖法では無いのでしょうか」
こっちは、ランだ。
「それもそうかも知れないな。事実若木が無い上に、殆どの木の大きさも高さも揃っているからね。それに切り倒した跡も枯れた跡も無かった」
「当時の技術ですからね・・それは」
今度は、カイだ。