決別 12名の戦士達
「来るぞっ!」
緊迫したエライ班長の声、銃を再び構えるシン達。
ヒューーーン・・バシュ・・ばばばば・・ビユーーン・・オオコウモリの飛翔音だ。大きさが2Mを超える大型コウモリの迫力はもの凄い。銃を硬く握ったままで、シン達は襲われそうになったら撃つ構えでオオコウモリに身構えた。だが、オオコウモリは倒したアナコンダの化け物に真黒になり降り立った。そしてその口に肉片を咥えると、入れ替わり立ち替わり降り立っては飛び立ち、又降り立ち・・そして、2時間程それが続いただろうか、大きな肉片は、以前鹿を2頭で持ち上げた時のように空中に持ち上げ・・30Mもあろうかと言う大蛇の一片も残さず、食いきってしまったのである。その間、呆然とエライ班長は眺めるしか無かった。
その光景は、第4監視塔では、この時望遠鏡が設置されていて、相当正確にオオコウモリの状態を見ていたのである。
「何かオオコウモリが肉片を咥えて、飛んで行っております。移動中です」
「何か大型動物か群れを襲ったのだな?」
「数匹が相当大きなものをぶら下げて飛んでおります」
「何だ?それは」
「分かりません。長い・・かなり太い肉片のようです」
「ふうむ・・いずれにしても、オオコウモリの脅威を見ては、また尻込みするしか無いのかな・・」
その下士官は憂い顔で唸った。ただちに上部に報告される事だろう。大きな音と共に・・
シン達は・・ほっとするやら、余りの光景に放心状態だった。しばらく言葉も出なかった。
「今日は・・ここから一歩も出られないな・・私もオオコウモリがこれ程凄い食欲を示すとは思っても見なかったよ」
「こんな大蛇すら一片も残さず・・ふう・・俺達は非力っす。大蛇は倒せても、オオコウモリにはとても敵わないや」
「土台・・闘う土俵が違うんだよ、リン君」
シリマツ官吏が言った。それは、間違いなくそうだった。闘うなど微塵も想定もしていなかった。回避する方策でここまでやって来たのだから。
「シン・・今のオオコウモリで推定どの位居た?」
「推定か・・3万頭は下らないだろうな」
「その3万頭で、数10トンはあるだろう大蛇が消えた・・」
「ん・・?」
シンはヤマイの顔を見る。
「これは恐ろしい事だぞ、実際。オオコウモリ1頭が1.5キロの肉片を食べるって言う事だ」
「まあ・・そうなるけどさ。何に驚いているんだ?ヤマイは」
シンにはヤマイの言葉が理解出来なかった。