決別 12名の戦士達
「危ない・・こっちに気付かれたら、向かって来る」
「いかん!構えろ・・あんな大蛇に攻撃されたらひとたまりもない。全員飲み込まれるぞ」
緊張が走った。象の道があろうが、その象の道の横にある山切りの木に前線基地を設けた。すぐそばに居る訳だから、鎌首をもたげただけで、余裕でこの山切りの木には届く。それに、蛇は木登りも上手だ。
「あ・・気付かれた!」
「マコト副長!間に合わん、22式村田連発銃を!」
「は・・はいっ!」
これにはサイレント機能など勿論無い。もはや、ちろちろと舌を出し、完全にチームに照準を定めた大蛇には、短銃を構える他チームと38式狙撃銃を持つエライ班長、シリマツ官吏とシン達が、サイレンサー付き銃だ。しかし、サイレンサー銃は6発しか撃てないから、交代で弾込めを咄嗟に決めた。撃っている間に他の者が幾つもの銃に弾を込めるのである。
「良し!撃て!」
ががががが・・バン、ババン、ヒュン・・バシュッ・・音が響き渡る。一瞬でシン達の距離に届く大蛇だ。もうここは攻撃するしか無かった。初めてこの旧時代の火器が、火を噴いたのだった!
大蛇はとにかく巨大だ。胴体、頭に弾が無数に当たって行く。ビシッ!ドシッ!肉体にそれは命中し、ぼこぼこと穴を開けて行く。蛇もやっぱり赤い血だった。どろどろとその体から血を流して行く。流石に苦しいのだろう。のたうつように体をくねると、その辺の木々が揺れ、大地にこれだけの巨体だ。地響きを起こす。周囲に居ただろう獣や鳥が、ぎゃぎゃっと声を挙げ逃げて行く。しかし、その音に反応したのは、逃げて行く動物達だけでは無かった。第4監視塔からもその音は聞こえたのだ。
「あの音は!」
第4監視塔では集音機器などが導入され、かなり遠くに居る動物の密度や音を記録出来るように装置が開発され置かれていた。その異常な音をキャッチしたのである。
「すぐ上に報告だ。何だ・・この連続音は・・」
連発銃をとにかく大蛇に打ち込むマコト副長と、エライ班長の狙撃銃が、大蛇の片目にあたった。脳の容量も恐らく小さいのだろうが、それが脳に貫通した可能性がある。動きが極端に悪くなり、鎌首をがくんと落とし、眼もうつろになる。
流石の大蛇も、これだけの銃弾を一気に体にぶちこまれては、苦しそうに身を回し、どんと倒れてのたうち回る。しかし、バンバンとシリマツ官吏も銃を撃ち込む・・そして大蛇も、無数のこの銃の攻撃で倒れるに至ったのだった。どたん・・ばたん・・のたうち回る、そして動かなくなった・・。
「良し・・止め・・」
エライ班長が狙撃を止めさせた。